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施設公開:

ブルックリンに没入型アート施設ArtsDistrict、70台超のプロジェクターを導入

ArtsDistrict Brooklynが、AI映像作品と立体音響作品を扱う常設施設の開業計画を発表。ゴーグルを使わず、複数人で同時に鑑賞できる会場を目指しました。

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ブルックリンに計画されたArtsDistrictの建物外観
画像:ArtsDistrict Brooklyn提供、公式発表より(報道引用)

ArtsDistrict Brooklyn(AD/BK)は2022年5月10日、ブルックリン区グリーンポイントに没入型アートの常設施設を開くと発表した。開業予定は同年7月、所在地は25 Franklin Street。映像と音楽に加えて、立体音響やライブパフォーマンスも扱う。来場者がゴーグルを着けずに作品を共有できる会場として計画された。

発表時点で示された施設面積は2万5,000平方フィート(約2,320平方メートル)。展示空間に、昼間や開演前に利用できるカフェを併設する。屋外席のあるパティオと、作品に関連するNFTを販売するギャラリーも計画に含まれた。滞在時間や複数作品の回遊まで考えた施設構成である。

1万平方フィートを使う「Limitless AI」

開業時の中心作品として発表されたのは、トルコ・イスタンブールを拠点とするOuchhh Studioの「Limitless AI」だった。2018年にパリのAtelier des Lumièresで公開された「Poetic AI」を含む作品群を、70分、全5章の構成へ組み直したものだ。米国での初公開になると案内された。

作品では、絵画や科学、自然に関する大量のデータをAIに読み込ませ、その結果を映像表現に用いる。公式発表は素材の例として、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画や筆致を挙げた。さらに、ガリレオからスティーブン・ホーキングまでの物理学書も使用したという。来場者は、データから生成された映像を大空間で鑑賞する。

会場では1万平方フィート(約930平方メートル)を使い、70台を超えるBarco製プロジェクターとMeyer Soundの音響設備を導入する計画だった。各回にはライブ演奏も加わる。演奏者が音楽に反応した際の脳波をリアルタイムで可視化し、投影映像の一部として見せる内容も発表に含まれていた。同じプログラムでも、生演奏と演奏者の反応によって毎回まったく同じ映像にはならない点が特徴となる。

暗闇で音だけをたどる作品も上演

もう一つの柱として発表されたのが、ロンドンのDarkfieldによる「Flight」と「Séance」だ。いずれも米国初公開で、40フィートの輸送用コンテナを改装した空間に入り、完全な暗闇の中で360度の立体音響を聴く。映像は使わず、音の方向や距離、座席の振動、周囲に誰かがいる感覚を手掛かりに場面を想像させる作品である。

「Limitless AI」が広い会場と多数のプロジェクターを使うのに対し、Darkfieldの2作品は視覚を遮ることで没入感を生み出す。開業時に異なる方式の作品を並べたことからも、AD/BKが「壁面投影を鑑賞する施設」だけを目指していなかったことが分かる。来場者は3作品をまとめて体験することも、作品ごとにチケットを購入することもできる予定だった。価格と上演時間は、発表時には未定とされた。

企画を入れ替えられる常設会場

AD/BKは、アートとテクノロジーを軸に、科学や音楽、映画も扱う方針を掲げた。ライブエンターテインメントを含む独自企画と選定作品を継続的に上演する。共同創業者はDavid GalpernとCharles Roy。両者は、それ以前にも技術を取り入れた舞台作品や没入型エンターテインメントのほか、ライブ会場や没入型展示ホールの企画・制作に携わってきたと説明している。

施設側がプロジェクターや音響、上演空間を常設すれば、企画ごとに機材を一から持ち込む負担を抑えられる。一方で、固定費の大きい会場を継続して稼働させるには、作品の入れ替えや再訪を促すプログラムが欠かせない。カフェやパティオを併設する計画も、鑑賞時間の前後を含めて施設を利用してもらう狙いと読める。

投影・音響・飲食を一つの施設に

この発表で注目したいのは、大規模投影、ライブ演奏、暗闇の立体音響という性格の異なる作品を、同じ常設施設の開業ラインアップに組み込んだことだ。ヘッドマウントディスプレイを使わず、複数人が同じ空間と上演時間を共有する構成は、劇場とデジタルアート展の中間にある。

また、2万5,000平方フィートの全体に対して「Limitless AI」の体験空間は1万平方フィートとされている。ほかの区画には音響作品のコンテナを置き、カフェとパティオ、ギャラリーも設ける計画だった。来場者は上演を選び、飲食を挟みながら別の作品へ移る。この複数の過ごし方を前提とした設計に、AD/BKの特徴が表れている。

なお、本記事は2022年5月10日の開業発表を基に、当時示された計画を整理したものだ。開業予定、料金、上演時間などは発表時点の情報であり、その後の営業状況を示すものではない。