← INDEX

施設公開:

八達嶺長城に「万里長城」全感劇場、25分・最大24人のXR体験

八達嶺長城で始まった全感劇場は、俳優の導入演技と25分のXR体験をつなぎ、最大24人を受け入れます。

REVIEWED
雪山と赤い山肌を縫う万里の長城を描き、「万里長城 全感劇場」と表記した公式キービジュアル
画像:愛奇芸 公式発表より(報道引用)

北京市延慶区政府は2025年9月15日、北京・八達嶺長城景区で、長城を題材にした「万里長城」全感劇場が正式に運営を始めたと発表した。愛奇芸(iQIYI)と視果科技が共同出品し、視果科技が独占配給する。愛奇芸の公式発表によると、同店は8月29日に全国1号店として試験営業を開始しており、景区内の関城広場付近に設けられた。営業時間は八達嶺長城景区に合わせ、店頭のほか美団、抖音、大衆点評で予約・購入できるとしている。

俳優の導入から、明代の使者として長城をたどる

体験は、俳優が演じる真人NPCの導入パートと、VR機器を装着する全感XR劇場の二部構成である。前半で来場者を物語へ招き入れた後、参加者は明代の行人司の史官(愛奇芸の発表では信使)となり、西部国境の巡察を終えて帰報する役を担う。西の驛站から嘉峪関を起点に、九辺の要地を経て山海関へ至る旅が設定されている。

公式発表では、馬車で砂漠を進み、烽火台で敵と対峙する場面が紹介された。天車で高所から長城を望み、戚継光とともに戦没者へ孔明灯をささげる場面もある。黄砂の古道や辺境の交易地、断崖を通過し、明代の軍旗と甲冑、火器をデジタル空間に再現する。愛奇芸によると、長城文化の専門家と博物館の関係機関が制作を指導した。長城沿線の地理や防衛の物語を基にした、参加型のフィクションである。

25分、最大24人を受け入れる全感覚設備

延慶区政府の案内では、1回の体験は25分、最大24人が同時に参加できる。身長1.2メートル以上の子どもも対象とし、家族、友人、団体での利用を想定する。料金は同発表に記載されていない。体験中は視覚・聴覚だけでなく、揺れや浮遊感、風、湿気、熱、水、においを使った演出を掲げる。これらは発表時点の案内であり、個々の場面で常に全要素を使うことまでは明らかにされていない。

技術面では、XRとAI、デジタルヒューマン、ゲームエンジンを組み合わせる。愛奇芸は、ゲームエンジンとモーションキャプチャーを制作に使ったと説明している。音響制作やデジタル資産のスキャンを行い、実物のセットも用意した。

VRのリダイレクションと無線ストリーミングも使う。約100平方メートルの物理空間で、より広い範囲を歩いているように感じさせる手法だ。実際に歩ける面積と空間内の誘導方法、使用するヘッドセットの機種は公表されていない。

映像IP中心から、観光地の文化を軸にした商品へ

「万里長城」は、愛奇芸にとって「長征・四渡赤水」に続く、観光地向けに個別開発した全感劇場の第2弾とされる。同社は2024年以降、映像作品のIPに加え、地域文化を用いたカスタムIPも展開している。2025年8月時点で、全感劇場シリーズは30を超える主要都市に50店以上を展開していた。累計来場者は約50万人だという。約50万人は全感劇場シリーズ全体の公表値である。

愛奇芸は、嘉峪関と山海関への導入予定も示した。陝西省楡林市の鎮北台と、甘粛・寧夏の長城関も候補に含まれる。地域ごとの開業日と会場規模、料金は、この時点で明らかにされていない。八達嶺店の25分・24人という条件を、他店でも採用するかは不明だ。

25分・最大24人の公開仕様

八達嶺店について公表されたのは、1回25分、最大24人という体験条件である。案内や機器装着にかかる時間と、1日の実施回数は示されていない。

開業後の来場者数、予約客と当日客の比率も不明だ。複数の長城関連地へ展開する計画は発表されたが、八達嶺店以外の詳細は今後の案内を待つ必要がある。