中国動漫集団、北京・王府中心に「国漫VR基地」開業 張壁古堡題材の大空間MRを初導入
中国動漫集団が北京・王府中心に開業した国漫VR基地。張壁古堡を題材とするMR作品と、商業施設との連携を追う。
中国動漫集団は2025年3月18日、北京・王府中心の4階で「国漫VR基地」の開業始動式を開いた。文化観光部が同社情報として3月21日に掲載した発表によると、同基地は「未来視界」を掲げ、没入型体験と新技術を通じて中国アニメの可能性を示す文化商品の新業態として設けられた。開業後には、山西省介休市の張壁古堡を題材にしたMR作品『沉睡的古堡(眠れる古堡)』が、最初の導入プロジェクトとして一般公開された。
王府中心は王府井地区にある商業施設である。中国動漫集団と王府中心は式典で協力契約を結び、アニメと文化観光の資源を生かしながら、オフラインの没入体験、文創商品の小売、無形文化遺産の体験、「漫秀場」などを広げる方針を示した。東城区政府は、この連携を王府井地区の従来型商業を文化・技術を組み合わせた消費空間へ更新する取り組みの一つとして紹介している。基地はMRだけの単独会場ではなく、複数の体験・物販・イベントを受け入れる拠点として構想されている。
張壁古堡の要素を都市部の体験空間へ
『沉睡的古堡』は、中国動漫集団と北京吾知視界科技有限公司が共同で制作した。題材の張壁古堡は山西省介休市にあり、公式発表では軍事、星象、琉璃、建築という文化要素を取り上げるとしている。作品側はこれらをそのまま展示するのではなく、要素を抽出し映像的に処理して、来場者が物語の手がかりを追いながら古堡の内部を探検する構成を掲げた。実在する文化遺産を、北京の商業施設内で参加型コンテンツとして提供する点が今回の出店の核となる。
技術として公表されたのは「LBMR大空間混合現実」である。東城区政府の開業レポートに掲載された写真では、来場者がヘッドセットを装着し、床面に位置合わせ用とみられるマーカーがある空間を歩いている。これは公式写真から確認できる会場の様子であり、端末の機種、追跡方式、体験面積、同時参加人数、所要時間、料金は、今回確認した各公式発表には記載がない。未公表の仕様を補わず、発表時点で確認できるのは、広い物理空間で映像を重ねるMR体験として公開されたことまでである。
開業時の連携と、継続運営に残る情報
開業式には中国動漫集団の関係者、行政、王府中心が参加し、中国動漫集団の線下演芸ブランド「中国動漫芸術団」による演目も実施された。グループの公式発表は、基地を中央と地方の協力によるモデル事業と表現している。施設提供者との契約、行政の支援、コンテンツ制作会社との共同制作を同時に組み合わせた点に、この拠点の運営上の特徴がある。
一方、施設運営に必要な数字は開業発表では限られている。面積、装着・説明を含む1回当たりの処理時間、1日の運営枠、料金、来場者数、コンテンツの更新時期は公表されていない。中国動漫集団と王府中心は、二次元文化の集積と基地ブランドの向上を掲げたが、それがどの頻度で新しい体験や物販に反映されるかは発表時点では明らかでない。事業の規模や収益性を判断するには、今後の営業情報と実績の開示を待つ必要がある。
編集部の見方:商業施設内のMRは回遊との接続が問われる
張壁古堡のように所在地から離れた文化資源を都市の商業地へ移す場合、作品の没入感だけでなく、来場前後の滞在をどう施設全体に接続するかが収支を左右する。MRの体験枠は、説明、装着補助、安全確認、機器衛生まで含めて運営する商品であり、回転数を追うほど待機列や周辺テナントへの影響も大きくなる。文創、非遺体験、演芸を併設する構想には、待ち時間と再来訪の理由をつくる余地がある。評価にはチケット販売だけでなく、体験から物販・イベントへ移る率、作品更新後の稼働、スタッフ負荷を継続して見る必要がある。