PHI Centreで「Broken Spectre」開催、14メートル高の映像と20台のスピーカーでアマゾンを映す
PHI Centreが、アマゾンの森林破壊を描く74分の映像と写真作品をモントリオールで公開した。
カナダ・モントリオールのPHI Centreは2024年5月22日から9月15日まで、「Broken Spectre」を開催した。アイルランド出身のRichard Mosseによる映像インスタレーションで、会場はGalerie 2 & 3。ブラジルのアマゾンで進む森林破壊を題材に、74分の映像と写真作品を組み合わせた。
当初の公式リリースに記載された終了日は7月3日だった。その後、公開中のイベントページでは9月15日までとしている。本記事では後者を実施会期として記録する。
三つの撮影手法で、破壊の縮尺を往復する
本作はアマゾンの遠隔地で3年にわたり撮影された。National Gallery of Victoria(NGV)によると、Mosseは科学調査に使う撮影技術を採用した。広範囲で進み、地上からは全体を捉えにくい森林破壊を映像化するためだ。撮影監督・編集者のTrevor Tweetenと、作曲家のBen Frostが制作に参加した。
PHIが説明した映像の構成は三層に分かれる。第一はヘリコプター搭載のマルチスペクトルカメラによる広域映像で、衛星による観測に対抗する視点から伐採の範囲と組織性を捉える。第二は35ミリの白黒赤外線フィルムで撮影した人間の活動に近い場面で、西部劇を思わせる視覚的な参照を用いる。第三は紫外線で照らした顕微鏡映像で、肉眼では見えない森林の生命や相互関係を映す。広大な森林、開発の現場、微小な生態系を同じ作品内で行き来させることで、森林破壊を単一の風景として処理しない設計だ。
モントリオール会場の主作品は、高さ14メートルの高精細投影と20台のスピーカーによる四重音響で構成された。映像自体は74分だが、PHIは展覧会全体の鑑賞時間を約90分と案内し、映像に加えてプロジェクトから選んだ写真も展示した。映像の大部分に台詞はなく、先住民の言語による一部の台詞にはフランス語と英語の字幕を付した。車椅子利用者を含む来場者への対応を案内し、同伴者は無料とした一方、高い音量と暴力を含む場面については、特に若年層への注意を明記していた。
料金はオンライン購入が22カナダドル、会場購入が25カナダドル(税別)。12歳以下は12カナダドル、5歳以下は無料だった。最終入場は閉館の1時間前で、満席の場合に追加枠は設けないと案内した。
イベントページには料金と最終入場時刻に加え、強い音や暴力表現への注意を掲載した。車椅子での利用や同伴者料金についても、同じページで確認できた。
「Broken Spectre」はPHIによる新規委嘱作品ではない。NGVとVIA Art Fund、Westridge Foundation、ロンドンのSerpentine Galleriesが共同で委嘱した。Collection SVPLとJack Shainman Galleryも支援している。
世界初公開は2022年10月、メルボルンのNGV Internationalで行われた。同館では幅20メートルのパノラマとして展示。PHIでは高さ14メートルの投影、四重音響、写真展示を組み合わせた。
74分の映像に合わせて利用条件を案内
PHIは主映像を74分、展示全体の鑑賞時間を約90分と案内した。入場は閉館の1時間前までで、満席時に追加枠を設けない運用だった。高い音量や暴力を含む場面への注意も掲載している。
会場別の来場者数や満席になった回数は公表されていない。モントリオール展が、その後の巡回や作品の販売へ与えた影響も公式資料からは分からない。