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香港・虎豹別墅、失われた「十殿地獄」をVR展示で再構成

香港の虎豹別墅で、失われた「十殿地獄」をVRで復元した展示がガイドツアーに加わった経緯と運用を追う。

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虎豹別墅でVRヘッドセットを装着し、「十殿地獄」の復元展示を体験する来場者
画像:香港恒生大学提供、公式発表より(報道引用)

香港政府は2025年5月14日、虎豹別墅(Haw Par Mansion)のガイドツアーにVR展示を加えると発表した。公開は5月16日から。展示名は「Virtual Reality: The ‘Ten Courts of Hell’ of Tiger Balm Garden」である。

題材は、かつて隣接する虎標萬金油花園(Tiger Balm Garden)にあった「十殿地獄」のジオラマだ。現物は残っていない。来場者は建物を見学した後にヘッドセットを着け、復元された壁面レリーフと庭園をたどった。

虎豹別墅は、実業家の胡文虎(Aw Boon Haw)が邸宅として使った建物で、香港の大坑道15Aにある。2009年には、歴史建築の等級で第一級に指定された。

邸宅と私有庭園は1935年に完成した。建物は西洋式の平面構成に、中国風の屋根や装飾を組み合わせた中国ルネサンス様式を特徴とする。一般公開されていた旧庭園の大部分が失われた後も、邸宅と私有庭園は現地に残った。

展示を共同で進めたのは、香港政府で文化財を担当する部門(AMO)と香港恒生大学、香港珠海学院である。Aw Boon Haw Foundationが資金を支援した。大学が制作したVRを、AMOが運営する建物見学の順路に組み込んだ事業だ。

写真資料を基に、失われた庭園を仮想空間へ

VRの基盤は、香港恒生大学と香港珠海学院が開発したメタバース・プラットフォームである。大学側の発表によれば、旧写真を参照して虎豹別墅と庭園の姿を仮想空間に再構成した。体験者はヘッドセット内で「十殿地獄」の細部を見ながら、インタラクティブな画面を通じて民間信仰、歴史、文化的背景を学ぶ。会場には解説パネルとプロジェクト紹介映像も置かれ、ヘッドセットの装着が難しい来場者にも、復元の対象と制作の意図を伝える構成だった。

公開前日の5月14日には、虎豹別墅でプレビューが開かれた。香港恒生大学の記録によると、政府や大学、財団の関係者29人が参加した。開発局長のBernadette Linn、同大学学長のSimon Ho、Sally Awが挨拶し、VRの実演と体験も行われた。

公開時のガイドツアーは無料で、金曜から日曜および祝日に1日4回、各回の定員は24人。1日の定員は最大96人となる。広東語で実施され、旧庭園と別墅内部の大部分を解説員と巡った後、VR展示へ進む順序が定められた。現存する建築の来歴、意匠、遺産価値を現地で確認してから、失われた部分へ視点を広げる設計である。

AMOの公式展示ページでは会場を虎豹別墅1階、会期を2025年5月16日から11月30日までとしている。現在は同庁の「過去の館外展示」一覧に掲載されており、当該公開は終了した。一方、大学が開発したプラットフォームは、失われた文化遺産を写真資料から再構成し、教育・公開に利用した成果として残る。

現存する建物の見学と、失われた庭園のVR復元を一つのガイドツアーにまとめた展示だった。