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体験・イベント公開:

Immotion、動物園・水族館向けVR「Flight of the Mantas」を発表

Immotionがマンタの生態を追うVR作品をAZA会合で公開。海洋保全と施設内エンターテインメントを組み合わせます。

REVIEWED
VR作品「Flight of the Mantas」に登場するマンタ
画像:Immotion提供、公式発表より(報道引用)

施設向けVRを手掛けるImmotionは2023年3月28日、新作「Flight of the Mantas」を米国動物園水族館協会(AZA)の中間会合で披露したと発表した。会合は3月25日からオクラホマシティで開かれ、全米から1000人を超える動物園・水族館関係者が参加。Immotion社長のRod Findleyが作品を紹介した。

モザンビーク沖でマンタの調査に同行

舞台はモザンビーク沖の海だ。参加者は海洋生物学者Andrea Marshall博士の調査に同行し、野生のマンタを間近で見る。Marshall博士はマンタ研究で知られ、絶滅の危機にある大型海洋生物の保全に取り組む非営利団体Marine Megafauna Foundationの共同設立者でもある。

撮影ではImmotionの制作チームに加え、アフリカを拠点とするHabitat XRが現地調整と制作を支援した。3D・360度映像を収録できるVRカメラを使い、マンタが暮らす海へ来場者を連れていく構成にした。発表文は撮影時期や上映時間、使用したカメラの機種までは明らかにしていない。

生き物の展示に保全教育を加える

Marshall博士は、保全には生き物への共感が必要だと説明している。大型動物のそばを泳ぎ、その動物が直面する問題を知る体験には意味があるという考えだ。「Flight of the Mantas」は、来場者が現地へ潜らなくても、マンタと同じ海中にいるような視点を得られる教材として制作された。

Immotionは動物園や水族館向けにVR事業を展開していた。館内へ複数席のシアターを置き、既存の展示と結びつける。2023年3月時点の導入先は世界35カ所以上。既存作は、ゴリラを追う「Gorilla Trek」、サメの海へ潜る「Shark Dive」、ザトウクジラを扱う「Swimming with Humpbacks」の3本だった。そこへ「Flight of the Mantas」が加わった。

発表では、同作を導入する個別施設名、公開日、料金は示されていない。AZA会合では、導入を検討する動物園や水族館の関係者に作品を披露した。一般来場者向けの開業発表は、この時点では行われていない。なお、体験料金の一部を保全団体へ寄付するという記載も、この発表にはない。

既存施設へ導入する複数席型VR

Immotionの施設向けシアターは、来場者が着席してVR映像を見る方式を採用している。歩き回るフリーローム型とは異なり、広い体験エリアを必要とせず、複数の座席を一つの区画にまとめられる。動物園や水族館にとっては、実物展示では見せにくい生息環境や、水中での動きを扱える選択肢になる。

一方で、今回の発表には座席数、1時間当たりの利用人数、施設側の導入費用などがない。35カ所以上という導入実績は確認できるものの、「Flight of the Mantas」が各施設でどのように展示解説と結びつくかは、導入先ごとの設計によって変わる。

VR体験の前後に必要な展示解説

水族館や動物園で使うVRは、実物の生き物を置き換えるためのものではない。飼育が難しい大型動物や、生息地でしか見られない行動を、来館中の学びへ加えられるところに役割がある。「Flight of the Mantas」は研究者本人を案内役に据え、マンタの映像だけで終わらせず、保全活動との接点を作ろうとした作品だ。

評価したいのは、映像を見た後に実物展示や解説へ関心が移るかどうかである。VR内の驚きが強くても、保全上の課題や来場者が取れる行動まで伝わらなければ、一度きりの映像体験になりかねない。導入施設には、VRの前後を含めた案内が求められる。