ニューヨークの体験型アート施設「INTER_」、正式開業に合わせ展示を拡充
INTER_が、LiDAR連動のドームや反応する床、鏡、AI撮影を備えた2階建ての常設施設を開業した。
ニューヨーク・ソーホーの体験型アート施設「INTER_」は2023年5月11日、前年11月からの試験営業を終え、5月19日に正式開業すると発表した。2階建ての館内を歩きながら、身体の動きに反応する映像、床、鏡、照明を体験する。
LiDARで来場者の動きを映像へ返すドーム
入口では案内映像を見た後、「Immersion Dome」へ進む。ドーム内では3D LiDARが来場者の位置や動きを捉え、投影映像を変化させる。植物を思わせるトンネルを抜けた先には、踏むと反応するデジタル床、鏡を使った無限空間、照明と映像が変化する展示が続く。
正式開業に合わせ、デジタルプロジェクションの演目やAIを使う写真撮影設備も追加した。来場者は決められた順路を進むが、それぞれの展示では立つ場所や動き方によって見え方が変わる。
AI撮影設備は来場者の姿を素材に加工した画像を作り、体験後に持ち帰れる記録へつなげる。展示内で起きた反応はその場で消えるが、生成された画像は施設外でも共有できる。一方、顔画像を扱う機能では、保存期間や利用範囲を分かりやすく示す必要がある。公式発表はデータの扱いまでは説明していない。
センサーを目立たせず、動作を入口にする
INTER_は、操作盤の説明を読んでボタンを押す展示よりも、歩く、手を動かす、鏡をのぞくといった直感的な行為を多く使う。LiDARや生成処理は体験を支える技術だが、来場者が機器そのものを操作するわけではない。
3D LiDARは光を使って周囲までの距離を測り、人がいる位置や動きを捉える。カメラ映像だけを使う場合と比べ、暗い投影空間でも距離情報を得やすい。INTER_ではセンサーの測定結果を映像の変化へ返し、説明書を読まずに身体の動きで反応を確かめられるようにした。
ソーホーの2階建て空間を順路化
来場者はドーム、トンネル、反応型の床、鏡の空間などを続けて回る。一作品だけを長時間鑑賞する展示より、短い反応を複数重ねる施設である。階をまたぐ移動も含め、次の展示が見える位置や混雑時の滞留を調整する必要がある。
全年齢を対象にしているため、操作の前提知識を減らすことには意味がある。一方、音、点滅、鏡、暗さへの感じ方は人によって異なる。公式発表は感覚刺激への配慮やアクセシビリティ条件を詳しく示していない。
施設は全年齢を対象とし、入場券は日時指定で販売した。公式発表では標準的な滞在時間、同時入場人数、各展示の制作会社までは示していない。
ベータ営業を経て常設体験を更新
半年間の試験営業を経て正式開業した点も、常設型LBEの運営を考えるうえで参考になる。インタラクティブ展示は、来場者の滞留やセンサーの反応を実地で確かめなければ調整しにくい。INTER_は営業を続けながら展示を更新し、正式開業時に体験のまとまりを示した。
2022年11月の試験営業から2023年5月の正式開業まで、来場者を受け入れながら演目や撮影機能を追加した。開業日を一度だけ設けて完成形を固定する方式と違い、常設施設を更新可能なソフトウェアと空間の組み合わせとして扱っている。
作品を一度完成させて固定するのではなく、反応を見ながら追加する運営は、デジタル展示ならではの方法だ。ただし、AI撮影など個別機能の更新だけでなく、館内全体の物語や順路とどう結び付くかが再訪の理由を左右する。