← INDEX

施設2025年8月7日

新疆・金沙灘で「迷塔城」開業、VR・AR・MRを3ゾーンで展開

和碩県の金沙灘観光リゾートに、VR・AR・MRを組み合わせた「迷塔城」が開業。3ゾーンの役割と公表済みコンテンツを追う。

REVIEWED
開業日に赤いカーペットが敷かれ、宇宙服風の大型マスコットが載った迷塔城の建物外観
バインゴリン・モンゴル自治州人民政府公式発表より(報道引用)

新疆ウイグル自治区バインゴリン・モンゴル自治州和碩県の金沙灘観光リゾートで、没入型施設「迷塔城(METACITY)メタバースパーク」が2025年8月3日に開業した。自治州政府は8月7日に開業を報じ、和碩県政府も5日に現地の開業式と利用開始を伝えている。両者はVR、AR、MRを組み合わせた施設と説明しており、来園者が現実空間と仮想空間を行き来する体験を中心に据える。

開業日に撮影された自治州政府掲載の写真には、赤いカーペットの前に来園者が集まり、宇宙服風の大型マスコットを載せた施設外観が写る。報道によれば、利用者は仮想空間で宇宙飛行士になり星間を飛行する内容を体験し、MRグラスを装着する対戦型の体験にも参加した。自治州政府が同写真を「8月3日、迷塔城元宇宙楽園が開園」として掲載しており、今回使用したヒーロー画像もこの公式発表の写真である。

和碩県政府の記事では、開業式は当日の夕方に金沙灘観光リゾートで実施され、式典後に来場者が入場したとしている。自治州政府の発表は、これを和碩県における観光・文化産業の転換を支える取り組みの一つと紹介した。施設側が掲げる「無界融合」というコンセプトは、実空間の来訪とデジタル体験を組み合わせる考え方として、3ゾーンの構成にも反映されている。

入口、休憩、遊技を3ゾーンに分ける

施設の構成は3ゾーンだ。「無界領航」はサービスと体験の案内を担い、初めて来る人が遊び方を把握する入口となる。「彩虹夢境」は光と映像を用いた休憩空間で、体験の合間に滞在する場所として設けられた。中核の遊技ゾーン「奇幻光域」にはVRとホログラム投影を集める。ヘッドセットを着けるアトラクションだけで完結させず、案内から休憩、体験へと役割を分けた設計である。

和碩県政府の発表は、同施設がバーチャルヒューマン技術、スマートウエアラブル端末、ホログラフィックMRを活用するとしている。また、VR大空間コンテンツ「太空奥赛罗(宇宙オセロ)」を来園者の撮影・体験対象として挙げた。さらに、航天文創と共同で「三航」シリーズを用意したという。「三航」は航空、宇宙航行、航海の3分野を指し、探月計画や深海探検を題材に含むと公表されている。技術展示に留めず、宇宙や海を題材にした体験・学習要素へ接続する構成だ。

金沙灘の観光機能にデジタル体験を加える

金沙灘観光リゾートは、和碩県が休暇、親子向け遊び、夜間消費を含む総合的な観光エリアへ拡張を進めてきた場所である。県政府は迷塔城の開業を、従来の観光にデジタル没入型コンテンツを加える施策として紹介した。迷塔城の投資者である曹雅評氏も、金沙灘の自然景観とデジタル技術を組み合わせる方針を表明している。これは事業者の将来像であり、現時点で実績を示す数値ではない点には留意が必要だ。

入場料金、各コンテンツの所要時間・定員、対応言語、稼働時間、導入端末のメーカーや台数は、確認した両政府発表では公表されていない。報道時点で判明しているのは、8月3日の開業、3つのテーマゾーン、VR・AR・MRおよびホログラム投影を含む技術構成、そして「太空奥赛罗」と「三航」シリーズという具体的な内容までである。未公表の運用仕様を補わず、続報や公式の来園案内で確認できる範囲を待ちたい。

編集部の見方:観光地の回遊につながるかが焦点

観光リゾート内のXR施設は、単独アトラクションの販売数だけでは価値を測りにくい。案内・休憩・遊技を分けた迷塔城では、各ゾーンが景区内の滞在時間や飲食・夜間消費への回遊をどこまで生むかが重要になる。運営側には、コンテンツ別の稼働率に加え、端末の衛生管理、故障時の復旧時間、スタッフが一組を案内する時間を追える体制が求められる。大空間VRとMRを同居させる施設だからこそ、更新投資を判断するための実測データが事業性を左右する。