Netflix House第1号がフィラデルフィア近郊に開業、10万平方フィートで作品体験を通年展開
Netflix初の常設ファン施設がKing of Prussiaに開業。作品別体験、上映、飲食、物販を一拠点に備える運用を追います。
Netflixは、常設ファン施設「Netflix House Philadelphia」を米ペンシルベニア州King of Prussiaの商業施設、King of Prussia, A Simon Mallに開業した。公式開業行事は2025年11月10日に実施され、一般来場者には11月12日午前10時(米東部時間)から開放された。Netflixによれば同施設は同社初のNetflix Houseで、面積は10万平方フィート超(約9,300平方メートル)。映像配信サービスの視聴体験を、作品別の有料アトラクションだけでなく、上映、飲食、物販、写真撮影までを含む常設の来場体験へ広げる拠点となる。
無料の入口から作品世界へ入る構成
Netflix Houseは、館内への入場と公共エリアの探索を無料としている。一方で、開業時の主力コンテンツにはチケット制の「Wednesday: Eve of the Outcasts」と「ONE PIECE: Quest for the Devil Fruit」があり、料金は各体験39米ドルからと案内された。無料で入れる範囲に作品を想起させる展示、Netflix Bites、Netflix Shop、Tudum Theaterを置き、より深い作品体験を有料で提供する二層の構成である。
「Wednesday: Eve of the Outcasts」は、ネヴァーモア学園の祭りを舞台にした約1時間の回遊型体験で、学園内の場所、10種類超のカーニバルゲーム、来場者が解くクエストを組み合わせる。「ONE PIECE: Quest for the Devil Fruit」は、実写版『ONE PIECE』の象徴的な場所をもとにした7室を、二つの同一コースに分かれて進むパズル型体験で、所要時間は約1時間。二つのコースは写真撮影を行うポストショーエリアへつながる。これに加え、Sandbox VRのゲームを25〜45分程度で体験するNetflix Virtuals、作品を題材にした9ホールの「Top 9」ミニゴルフも用意された。後者の標準的な所要時間は約25分とされる。
常設拠点に必要な更新余地と地域の関与
単一IPの巡回展と異なり、Netflix Houseは複数の作品を同じ建物で並行展開できる。公式はこれを通年型の目的地と説明しており、開業時には『Wednesday』『ONE PIECE』のほか、『Stranger Things』『Squid Game』『Bridgerton』などを題材にした要素も館内に組み込んだ。上映の場となるTudum Theater、テーマ飲食、限定を含む商品販売を併設することで、アトラクションを利用しない来場者にも滞在の接点を設けている。
地域との接点も開業発表で具体的に示された。設計・建設には地域住民約260人が携わり、グレッグ・ピーターズ共同CEOは開業式で約300人の新規従業員をNetflixチームに迎えたと述べた。屋外の赤い封筒型エントランスを囲むマッシュアップ壁画は、フィラデルフィアのアーティスト、Emily Whiteが制作。式典にはピーターズ、テッド・サランドス共同CEOのほか、ジョシュ・シャピロ州知事らが出席した。Netflixは当時、次の拠点としてダラス店を12月11日に開く予定も公表していた。
編集部の見方:固定設備を作品更新にどう生かすか
この第1号店で問われるのは、強い新作を一度施設化できるかではなく、固定された約10万平方フィートを継続的に更新できるかである。無料エリアは来場の心理的障壁を下げる一方、収益面では有料体験の稼働、飲食・物販への回遊、作品入替時の休止日数が効く。二つの大型体験に劇場、短時間ゲーム、ミニゴルフを重ねた設計は、同行者ごとに異なる滞在時間と支出を受け止めるものだ。今後は作品の鮮度を保ちながら、設備をどの程度再利用できるかが、常設型Netflix Houseの運営効率を左右する。