Meow WolfのOmega Martがラスベガスに開業、スーパーの裏に60の異空間
架空の商品が並ぶ店舗から物語とアート空間へ進む、Meow Wolf第2の常設施設がAREA15で始まった。
Meow Wolfは2021年2月18日、常設施設「Omega Mart」をラスベガスのAREA15に開業した。ニューメキシコ州サンタフェのHouse of Eternal Returnに続く同社第2の大型施設で、架空のスーパーマーケットを入口にした。
企画の原型は2009年にニューメキシコ州で行われた同名の展示にさかのぼる。日用品の見慣れた売り場へ、実在しそうで存在しない商品と企業設定を混ぜる発想を、13年かけて大規模な常設施設へ発展させた。
商品棚の奥から別の世界へ
最初の区画には、風刺的な名称とパッケージを持つ商品が実際のスーパーのように並ぶ。冷蔵庫や売り場の扉を抜けると、親会社という設定のDramcorpの工場、研究区画、洞窟のような空間へ続く。
棚には「Mammoth Chunks」「Nut Free Salted Peanuts」「Personalized Bleach」など、商品名と用途のずれを楽しむ品が置かれた。一部は実際に購入できる。来場者は買い物客として入り、棚の奥にある通路を見つけた瞬間から、Dramcorpをめぐる物語の調査者へ立場を変える。
館内は四つの大型エリアと60の部屋・通路で構成され、制作には325人を超えるクリエイターが参加した。来場者は決まった順番で物語を読むことも、作品を自由に見て回ることもできる。
物語を深く追う場合は、社員証のようなカードを端末へかざし、社内資料や人物の記録を集める。すべてを解かなくても各部屋の造形や音を楽しめるため、探索ゲームとしての参加と、没入型アートの鑑賞を同じ空間に共存させている。
買い物の形式を物語の入口に使う
日常的なスーパーの棚を使うため、来場者は場所のルールを直感的に理解できる。その一方、商品説明や社内資料を追うと、企業をめぐる別の物語が現れる。鑑賞者の選択によって得る情報量が変わる構成である。
この入口は、初めて訪れる人に長い世界設定を読ませる役割も減らす。カート、陳列棚、値札、従業員という共通認識を使い、違和感のある商品から少しずつ物語へ誘導する。奥の空間が複雑でも、戻ってこられる基準点として売り場が機能する。
Omega MartはAREA15の中核施設として営業を始めた。単独の建物を新設せず、入場無料の複合施設内に大型の有料体験を置いたことで、AREA15の飲食や他のアトラクションとも行き来できる。公式資料には平均滞在時間と1日当たりの定員は明記されていない。
一本道の結末へ全員を導くアトラクションではないため、体験時間や理解する物語は来場者ごとに異なる。自由探索を許しながら、狭い通路や人気の撮影場所へ人が集中しないようにする運営も必要になる。作品数の多さだけでなく、その選択を来場者へ委ねたことがOmega Martの特徴である。
また、架空の商品を実際に販売する仕組みは、展示鑑賞と物販を同じ場面に重ねる。来場者が持ち帰る商品は記念品であると同時に、Dramcorpの世界が施設外まで続く小道具にもなる。物語、作品、店舗運営を売り場という一つの形式へまとめた常設施設だった。