Washington D.C.にPlanet Word、声で展示が動く言語博物館が開業
来場者の発音や歌声に展示が反応し、言葉の仕組みを身体で学ぶ10の体験型ギャラリーが公開されました。
Planet Wordは2020年10月22日、ワシントンD.C.で一般公開を始めた。言葉の力、面白さ、美しさを扱う非営利の博物館で、10の体験型ギャラリーを設置。来場者の声で展示が動く「世界初の博物館」として発表された。
所在地は13番通りとK通りの交差点にあるFranklin School。米国の歴史的建造物に指定された元学校を修復し、展示施設へ転用した。一般入場は無料で、運営を支える任意の寄付を受け付けた。
22フィートの壁と会話する
代表的な展示「Where Do Words Come From?」は、高さ22フィートの言葉の壁だ。来場者が壁と会話すると、光の演出を交えながら英語の歴史や単語の由来を紹介した。
公式発表は、壁面へ立体文字を並べた構成と、音声で応答する仕組みを説明している。ただし、発音を採点する機能や、個人の回答を記録する機能については触れていない。
展示設計はLocal Projectsが担当した。10のギャラリーでは音声と映像、光を組み合わせ、来場者自身が操作できる展示を制作した。
演説、歌、広告を自分で試す
防音室では、テレプロンプターを読みながら歴史的な演説を行えた。選べる演説は8種類。来場者自身が話し手となり、文章を読むだけでなく、声に出して伝える行為を体験した。
カラオケラウンジでは歌を通じて優れた作詞の仕組みを学ぶ。図書館の書架には秘密の詩の小部屋も用意された。別のギャラリーでは広告キャンペーンを作り、「スマート」な絵筆を使って言葉で絵を描けた。
さらに、広く使われる言語と消滅の危機にある言語の母語話者と会話する展示も設けた。操作方法は展示ごとに異なる。公式発表で確認できる入力手段は、来場者の声、演説用のテレプロンプター、言葉で絵を描くための専用ブラシである。
364個のスピーカーを持つ柳
中庭の入口には、Rafael Lozano-Hemmerによる常設作品「Speaking Willow」を設置した。枝垂れ柳を模した金属彫刻で、来場者が枝の下を通ると、数百種類の言語による音声が聞こえる。
彫刻には364個のスピーカーと3.6マイルのイーサネットケーブルを使用した。Ann FriedmanとTom Friedmanが、ニューヨークのPublic Art Fundと共同で作品を委嘱した。Lozano-HemmerにとってワシントンD.C.初の常設作品となった。
公式発表にSpeaking Willowの高さは記載されていない。館内展示について示された22フィートという数値は、言葉の壁の高さである。Speaking Willowの寸法を示す数字ではない。
世界各地と話す「Portal」
館内にはShared_Studiosの「Portal」も置かれた。没入型の映像・音響設備を使い、離れた都市にいる人と同じ部屋にいるように会話する空間だ。言語の違いと、言葉が日常の判断や人間関係へ与える影響を扱った。
関連企画「DIVERCITIES」は2020年9月にオンラインで開始。コメディアンや詩人、芸術家、記者、教育者らを交えた対話を毎月行った。D.C.の参加者はラゴス、エルビル、ミルウォーキーにいる人々と話した。メキシコシティ、ベルリン、ダラスも接続先として発表されている。
学校と音声通信の歴史を残す建物
Franklin Schoolは、ワシントンD.C.初期の公立学校の一つとして使われた建物だ。1880年にはAlexander Graham Bellが世界初の無線音声伝送を行った場所でもある。
博物館の開設に向け、建築事務所Beyer Blinder Belleと施工会社Whiting-Turnerが2年間かけて修復した。中央のGreat Hallではフレスコ画を再現し、二つの大階段では装飾的な手すりと陶製タイルの踏み板を復元した。
展示と開業準備のための資金調達目標は2,000万ドルで、開業までに達成した。建物自体の修復費は創設者Ann Friedmanが負担したと発表されている。
開業時は木曜から土曜まで
開館時間は木曜から土曜の午前10時から午後5時。新型コロナウイルス対策として館内人数を制限し、事前の時間指定予約を推奨した。当日枠も先着順で少数用意する可能性があった。
2歳を超える来場者にはマスク着用を求めた。接触を減らすため、インタラクティブ展示に使えるスタイラスペンを配布し、館内各所へ手指消毒設備を置いた。
開業発表には10のギャラリーとSpeaking Willowが記載された。世界各地と話すPortalや、歴史的校舎の修復内容も紹介されている。開業後の来場者数と各展示の平均利用時間は示されていない。学習内容がどの程度定着したかを測る調査結果も、この時点では公表されなかった。