お台場に常設イマーシブシアター「Venus of TOKYO」、観客も物語へ参加
DAZZLEがヴィーナスフォートに体験型劇場を開設。観客が会場内を歩き、演者と同じ空間で物語を選ぶ公演を始めました。
ダンスカンパニーDAZZLEは2021年4月6日、イマーシブシアター「Venus of TOKYO」を同月29日に開業すると発表した。会場は東京・お台場の商業施設ヴィーナスフォート2階、教会広場前。約1年間にわたって同じ場所で上演する計画で、主催者は日本初の常設イマーシブシアターと説明していた。
一般的な舞台のように、観客が座席から正面を見る公演ではない。参加者は演者と同じ空間を自分の意思で歩き、複数の場所で同時に進む出来事から、見たい場面を選ぶ。観客全員が物語の登場人物になる形式を採った。
観客が登場人物を追い、見る場面を選ぶ
物語の舞台は、東京の奥深くにある秘密クラブ「VOID」。そこでは芸術家が感性を競い、富豪が作品を買うオークションが開かれている。ある夜、ミロのヴィーナスが失った左腕と、その手に握られていたとされる黄金の林檎が出品されるという噂が届く。参加者は、それぞれの思惑が交わる会場へ招かれる。
観客の行動によって登場人物の運命が変わり、結末も分かれるマルチエンディング作品と案内された。誰を追い、どの場所へ向かうかによって、目の前で起きる場面が変わる。主催者は「二度と同じ内容が繰り返されることのない作品」と表現しており、固定された一つの筋を全員が順番に見る構成は採っていない。
デジタル演出、音響、衣装を専門家が分担
プロデュースと上演を担うDAZZLEは、ストリートダンスとコンテンポラリーダンスを組み合わせた作品を発表してきたカンパニーだ。「Venus of TOKYO」では、分野ごとに外部の制作者が参加した。
デジタル演出はクリエイティブスタジオWhateverが担当。特殊造形はAmazing JIROの監修のもと、SYLVESTARの小林誠実が制作した。衣装はDRESSEDUNDRESSED、会場の生け花は石草流の奥平清祥、メイン楽曲は作曲家の林ゆうきが手掛けた。
仮面には、現代的に再構成した能面「Neomote」を使用。Mask artistの午前アムが、能楽師の山中迓晶による監修を受けて制作した。音響の一部はavexのSound edgeが担当し、会場内に多重音響空間を構築したと発表されている。
約80分、1日3公演でスタート
4月29日から5月31日までは毎日、午後1時30分・4時30分・7時30分の3回を上演する日程だった。開場は各回の30分前で、所要時間は約80分。基本的に無休とし、ヴィーナスフォートの営業規定に従うとされた。
一般チケットは平日6,500円、土日祝日は7,500円。プレミアムチケットは平日9,500円、土日祝日は10,500円で、DAZZLEの会員向けサイトだけで販売した。同サイトの有料会員には500円の割引も用意された。
発表時には、現地の登場人物が公演中にリアルタイム配信を行い、オンラインの視聴者も物語へ関われる企画が予告されていた。ただし、4月6日の資料では参加方法や料金などの詳細は「近日発表」とされ、具体的な運用は示されていない。
約80分の公演を1日3回、約1年間にわたって同じ会場で続ける計画は、短期イベントとは運営条件が異なる。観客は自由に移動できる一方、演者は複数の場所で物語を同時に進める必要がある。発表資料から確認できるのは上演時間と料金、クリエイターの担当範囲までで、定員や各回の演者数、マルチエンディングの種類は公表されていなかった。