中国・呉橋の没入型雑技パークが営業開始、5劇場・1日150超の演目を展開
中国・呉橋で営業を始めた雑技幻乐城。5劇場、6街区、70超の参加地点をつなぐ体験と運営計画を確認した。
中国河北省滄州市呉橋県で、雑技を主題にした没入型施設「呉橋雑技幻乐城(Wuqiao Acrobatics Fantasy and Joy City)」が営業を始めた。新華社配信の開園発表は2026年4月30日付だが、河北省文化・観光庁と地元の新華社系媒体は一般営業の開始日を5月1日と案内している。本稿では、4月30日に開園を発表し、翌5月1日から来場者を迎えたものとして扱う。
敷地は約245ムー(約16.3ヘクタール、約40エーカー)。開園発表によると、園内には5劇場、6つのテーマ地区、70を超える参加地点を配置し、1日に150を超える演目を上演する。河北省文化・観光庁の事前発表は、来場者の動線を「1区・5劇場・5広場・6街区・多数のポイント」と表現した。中規模の演芸会場を20か所、小規模な参加地点を83か所設けるとも説明している。70超と83という数値は、集計範囲や公表時点が異なる可能性がある。劇場の作品に加え、街区や広場でも小規模な演目に出会う構成だ。
「見る人」から舞台に関わる来場者へ
来場者が試せる技には、空竹(ディアボロ)、皿回し、基礎的な柔術、バランス技がある。開園発表ではプロの演者が体験を案内するとされ、専門的な技を観賞対象だけにしない。体験内容や安全条件、各回の定員は公表されていないが、演者の実演と初心者向けの参加機会を同じ園内に置く方針は明確だ。
中国中央広播電視総台の系列メディア、央広網は開園前に「大明招婿」を紹介した。明代の民間婚礼を下敷きにした参加型の情景劇である。皇帝が娘の婿を選ぶという設定の中で、来場者は舞台へ上がり、文才や機転を競う問いに加わる。記事は「拝堂成親」の記念撮影も用意すると報じた。参加者は短い応答や撮影を通じて物語へ入る。
神話・古典を雑技の場面へ置き換える
園内の各場面は、伝統的な神話、ことわざ、古典小説を題材にする。河北省文化・観光庁は、ホログラフィー投影やワイヤー技術などの現代的な舞台手法と創意工夫を組み合わせる計画を示した。央広網が取材した事前リハーサルでは、「詩仙酒韻」「白蛇伝情」「唐風踏古」といったテーマ場面も紹介されている。題材の認知度を入口にしつつ、雑技、演技、光や映像の演出を重ねる設計である。
5劇場の一つ「呉橋幻境劇場」では、中国雑技団の演出家・左朝峰がチームを率い、「呉橋幻境之遇見百戯」を準備したと報じられた。高所雑技、柔術、舞踊、相声を組み合わせ、新婚の呉小凡と喬小凡が世界を巡演する筋立てを用いる。回転する大型スクリーン、音響、照明を備え、客席との複数回の交流も構想に入れたという。ここでも空竹や基礎技の体験を組み込み、演者の技を見た直後に来場者が身体を動かせるようにする。
呉橋の観光基盤に加わる新施設
呉橋は「雑技の故郷」として知られ、雑技博物館や既存の呉橋雑技大世界を擁する。第20回中国呉橋国際雑技芸術祭は2025年に同県で開催され、開園発表はこの開催を経て地域の雑技観光を広げる取り組みと位置付けた。プロジェクト側の河北艾科瑞文旅有限公司の董事長、張楽は、従来の「演じる側と見る側」を分ける形式を越え、来場者を参加者、さらには継承者へ近づけることを建設の狙いとして説明している。
公開資料には入園料が記載されていない。年間の来場者目標と総事業費も不明だ。劇場ごとの客席数や、参加体験の定員・所要時間も示されていない。開園前の取材で「大明招婿」の脚本責任者、何志文氏は、既存演目を継続して改良し、新たな没入型公演も制作する計画を述べた。各演目の開始時刻と参加条件は、今後の公式案内で示される情報となる。
150超の演目を各所で上演
開園発表は、1日に150を超える演目を上演するとしている。5劇場だけでなく、広場や街区、小規模な参加地点でも演目を提供する。空竹や皿回しなど、来場者が演者から教わる体験も含まれる。
一方、各演目の時刻表と所要時間は公表されていない。参加体験に予約が必要か、雨天時に屋外演目を変更するかも不明だ。開園後の来場者数、演目別の参加人数、待ち時間についても、今回参照した資料では確認できない。