ヨセミテ近郊に常設XRシアター、動き・振動・香りで国立公園を体験
Yosemite Cinemaが16台のモーションポッドを備えたXRシアターを開設。15分のVR映画を動き、振動、香りとともに上映します。
米カリフォルニア州オークハーストのYosemite Cinemaは2022年7月14日、16台のモーションポッドを備えた「Positron XR Cinema」の開設を発表した。一般公開は同月11日に始まっている。最初の上映作品は、ヨセミテ渓谷を巡る15分のVR映画「Experience Yosemite」。ヘッドセットの映像に座席の動き、振動、香りを重ねる。
16台の専用ポッドで同じ作品を上映
来場者は一人用の「Voyager」ポッドに座り、VRヘッドセットを装着して鑑賞する。Positronが開発した座席は作品の進行に合わせて動き、触覚効果と香りも再生する。発表では、16台すべてに同じ仕組みを備えたと説明している。
主力作品の「Experience Yosemite」はCity Lightsが制作し、俳優のブライアン・クランストンがナレーションを担当した。映像の舞台はヨセミテ渓谷で、滝や岩壁を含む国立公園の景観を15分にまとめている。監督はCity Lights共同創業者のJoel Newton。同社は、この作品をヨセミテへの思いから制作したと説明した。
施設側は「米国初の常設モーションVRシアター」、Positronは「北米初の常設XR Cinema」とそれぞれ発表している。
いずれも事業者による位置づけであり、第三者機関が認定した記録とは記されていない。それでも、イベント会場への期間限定設置ではなく、独立系映画館が16席の専用設備を常設した点は、この事例を理解するうえで具体的な手掛かりになる。
国立公園の玄関口にある独立系映画館
Yosemite Cinemaは、ヨセミテ国立公園の南側に位置する独立系映画館だ。通常の映画上映を行う施設へXR専用区画を加えた。CEOのKeith Walkerは、来訪者に国立公園を新しい方法で体験してもらうことを導入理由として挙げている。PositronのCEO、Jeffrey Travisも、国立公園を訪れる多くの旅行者を想定した常設拠点だと説明した。
発表時点で案内されていたのは、施設の開業日、16席という規模、主力作品の上映時間と制作陣までだった。料金、1日の上映回数、来場者数は公表されていない。そのため、稼働率や採算性については、この発表だけでは判断できない。
宇宙やエベレストを扱う作品も上映予定
Positron XR Cinemaは「Experience Yosemite」だけを上映する専用館として発表されたわけではない。受賞歴のある制作者や監督による別のVR映画も順次扱い、宇宙やエベレスト山頂など、来場者が実際には訪れにくい場所を題材にする計画が示された。個々の作品名や上映開始日は、この時点では明らかにされていない。映画館には、チケット販売、入場案内、上映スケジュールといった既存の運営がある。そこへ16台のXR座席と複数作品を加えたのがYosemite Cinemaの構成だ。主力作品を地元の観光資源に合わせながら、その後は異なる題材へ上映内容を広げる方針まで発表していた。常設XR設備を一作品で終わらせず、映画館のように作品を入れ替えて使う計画が、この施設の特徴として読み取れる。