ABAL、LBE向けXR基盤「Scape」を発表 100人同時体験に対応
ABALが発表した「Scape」は、空間拡張技術と運営・ID基盤を組み合わせ、LBEの処理人数と周辺サービス連携を支えるXRプラットフォームです。
株式会社ABALは2025年2月26日、ロケーションベースXR向けのエンターテインメントプラットフォーム「Scape®」を発表した。狭い現実空間を仮想空間で拡張する技術だけでなく、コンテンツ、現場運営、利用者を扱う仕組みを一体で提供する構想だ。商業施設、観光地、アトラクション運営会社、IPホルダーを主な提案先としている。
従来のロケーションベースXRでは、同時に入場できる人数が端末や通信の制約を受けやすく、利用者を増やすほど現場スタッフや機器管理の負荷も増える。ABALはこの二つを、興行収入の上限と運営コストを押し上げる課題として挙げた。Scapeは、限られた物理空間の中でユーザーがアバターとして自由に動き、同じ仮想空間を共有する体験を想定する。現実には作りにくい巨大な3Dセット、マッピング、ドーム映像のような演出をXR側に置くことで、会場の面積や恒久設備だけに表現を依存しない設計を目指す。
空間拡張と運営システムを一つの基盤に
発表時点でABALは、Scapeを合計18件の特許技術に支えられるプラットフォームと説明した。空間拡張技術を用い、エレベーターで移動するような転換や巨大な3Dセットの演出をXR施設に組み込めるとしている。現在のScape紹介ページでも、複数のユーザーが同時に仮想空間へ入り、各自が移動しながら体験を共有できる点を基本機能として掲げる。
運営面では、コンテンツ管理、運営管理、ユーザー管理のシステム群を連動させる。ABALは同時体験者100人を最小3人のスタッフで運営し、年間75万人規模を受け入れられると説明している。個別施設での実績値ではなく、同社が掲げる運用能力だ。開発前のLBE関連プロジェクトでは、累計体験者が30万人を超えたとしている。
一方で、施設ごとの必要面積と標準的な体験時間は記載されていない。導入費用も不明だ。100人規模の運営を実施している施設名や稼働条件も、今回確認した公式発表と公式サイトでは確認できない。
発表は「複数の施設で導入・稼働中」としている。体験中に撮影された写真は1日15,000枚以上に上るという。ただし、対象施設と集計期間は明らかにしていない。
Scape IDで体験後の行動にも接続
Scapeを使うソリューションでは、仮想空間にチェックインする利用者へ「Scape ID」を発行する。このIDを介して、XR内の行動と現実側のサービスをつなぐ考え方だ。公式発表では、連携する飲食店での食事をアトラクション内のキャラクターの変化に反映する例、ECで購入した物品でXR空間内のアクセス可能なエリアを変える例を示した。公式サイトでは、体験で見つけたアイテムに応じてホテルサービスのグレードを変える例も紹介する。
また、XR空間で撮影した写真をスマートフォンに保存し、SNSで共有できる機能を提供するとしている。Scape IDを使うことで、施設内の飲食や物販、宿泊とXR体験を連動させる構想だ。
外部IDとどこまで連携できるかは公表されていない。個人データの保存期間と同意取得の方法も不明だ。導入先によって提供機能が変わるかどうかも、公式発表では具体化されていない。
提案先を広げるScapeの次段階
ABALは、商業施設と観光地への提案を拡大する方針を示した。アトラクション運営会社やIPホルダーも提案先として想定している。
2025年3月には、AnimeJapan 2025でScapeを活用した「Ave Mujica XR」のプロトタイプを展示した。作品IPとイベント会場に合わせて、Scape上のコンテンツを制作した事例である。
100人を3人で運営するとする公表値
Scapeは、空間表現と現場運営、周辺サービスとの連携を同じ基盤で扱う。ABALは、100人の同時体験を3人のスタッフで運営できるとしている。
その運営条件と会場ごとの回転時間は公表されていない。故障時の復旧手順、安全監視とスタッフの担当範囲も不明だ。ID連携で取得するデータの詳細も未発表である。