Da Vinci Experienceがバンクーバーに開業、映像と音で作品と生涯をたどる
北米初開催となる巡回型の没入展示。開業前に1万枚超を販売し、2022年3月までの開催を決めた。
Sensea Immersiveは2021年6月28日、カナダ・バンクーバーで「Da Vinci Experience」を開業した。フィレンツェのCrossmedia Groupが制作した巡回型展示で、カナダと米国では初の開催となった。
会場はTsawwassen Mills Mallの入口3付近に設けられ、面積は13,300平方フィート(約1,236平方メートル)。360度の映像投影、Dolbyの立体音響、VR、発明品の複製を使い、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画と研究を複数の方法で見せた。
絵画と発明を一つの映像体験へ
展示はレオナルド・ダ・ヴィンチの生涯、絵画、手稿、発明を題材にし、壁面や床面の映像、音響、立体物を組み合わせる。複数の資料を時間軸に沿った映像へ再構成し、来場者がその中を歩く。原画の所蔵を前提としない巡回展のため、会場ごとに同じ映像データと展示機材を展開できる。
館内には、残された手稿や歴史資料をもとに製作した10点の発明品の実物大複製も置かれた。壁いっぱいの映像で人物の発想を紹介した後に、機械の形と大きさを立体物で確認できる。映像だけで作品を拡大する構成にせず、工学者としての側面を物理展示で補った。
VR区画は、来場者ごとにヘッドセットを使って視点を変える。多数が同じ映像を見る投影室と、個別に機器を装着する体験では処理人数が異なるため、順路の中で滞留を分散させる必要がある。
制作元のCrossmedia Groupは2008年に設立され、教育要素と娯楽性を併せ持つ展示として各地で展開してきた。バンクーバーでは開業前に1万枚を超えるチケットが売れ、会期は2022年3月までとされた。開業式にはイタリア、メキシコ、フランスの総領事が出席する予定も発表された。
巡回作品を現地法人が運営
運営するSensea Immersiveは、2020年に設立されたCrossmedia Canadaの事業名である。海外で制作済みの展示を輸入するだけでなく、会場、販売、現地広報を担う体制を置いた。
チケットには、新型コロナウイルス対策によって予約日時が中止された場合、追加料金なしで次の利用可能枠へ振り替える保証が付いた。長期の巡回展示では、作品内容だけでなく、日時指定券の変更方法も購入判断に関わる。2021年の開業条件を反映した販売設計だった。
文化資産を題材にした没入展示では、映像の規模だけでなく、資料同士をどの順序で見せるかが理解を左右する。本作は人物の生涯を軸に、絵画と技術の話題を接続した。
一方、原画を展示する美術展と同じ鑑賞価値をうたうものではない。歴史資料から再構成した映像と複製を通じて、離れた時代や場所にある作品群を一つの会場で概観できることが本作の役割だった。
商業施設内で長期間開催することで、美術館を目的地にしていない買い物客にも入口をつくった。巡回可能な設備と現地運営会社を組み合わせた点が、北米での展開を支えている。