Faro Santander、2層の没入型ギャラリー「Cubo」を歴史建築に実装
360度投影、約400平方メートルのLED外装、VRを組み合わせた没入型ギャラリー。歴史建築の記憶を複数のメディアで伝えます。
Fundación Banco Santanderは2026年8月20日、スペイン・カンタブリア州サンタンデールの文化施設「Faro Santander」を9月8日に開業すると発表した。旧Banco Santander本店のEdificio Peredaを転用し、アート、技術、教育、市民参加を通年で扱う。LBEの中核となるのは、2層にわたるデジタルギャラリー「Cubo」だ。
内側の360度投影と外側のLEDを別の体験にする
Cuboの内部には360度没入型投影システムを設置し、外側は約400平方メートルのLED面で覆う。開業作品「Antes de Faro Santander」は、建物と都市の記憶を扱う3つの映像体験で構成される。
内部ではBanco Santander創業年の1857年から現在までをたどり、港、都市、銀行、同時代の歴史を重ねる。外側のLED面では建物の改修過程や旧銀行の家具を見せる。さらに、VRヘッドセットを使い、建物の代表的な空間を歴史的に再現した体験を提供する。同作品の会期は2027年4月までとされるが、体験時間、定員、利用料金、投影システムの仕様は発表されていない。
編集部の見方:一つの資料をメディア別に分担させる
建築の歴史を扱う場合、すべてを一つの映像へ詰め込むと、来場者が見る位置と理解の順序を固定しにくい。Cuboは、内部の360度投影を年代の流れ、外装LEDを改修と物品の細部、VRを過去の空間内を体験する手段として使い分ける。メディアを増やすこと自体ではなく、同じ資料に異なる見方を与える構成が要点になる。
外側のLED面は、上映中の来場者だけでなく館内を通る人にも内容を届けられる。その反面、内外で別の映像を同時に動かすには、音の干渉、明るさ、観客の滞留、保守アクセスを分けて設計する必要がある。約400平方メートルという面積は視認性を生む一方、常時点灯の運用時間や更新頻度がエネルギー消費と制作負荷を左右する。
VRは歴史的な館内を個別に見せられるが、ヘッドセットの台数、装着補助、衛生管理が処理能力の上限になる。家族・学校向けの参加型空間「Llamita」や地域作家を扱う「Marisma」も同じ施設に置くため、Cuboを単独目的地にせず、年齢や鑑賞方法の異なる来館者を館内の次の活動へつなげられるかが運営上の焦点となる。