Frida Kahloの生涯をたどる没入展、VRと投影を組み合わせて米国へ
Layers of Realityらが、写真、資料、映像投影、VRで作家の生涯を紹介する巡回展の米国開催を発表した。
Frida Kahlo Corporation、Layers of Reality、Primo Entertainmentは2022年3月8日、展覧会「Frida Kahlo, The Life of an Icon」を同年夏に米国で開催すると発表した。会場はマイアミとフェニックス。絵画の原作展ではなく、作家の人生を複数のメディアでたどる「没入型の伝記」として制作された。
写真、映像、VRで生涯を紹介
会場には歴史写真、資料、コレクターズアイテム、デジタルアート、映像投影、インスタレーションを配置した。VRではKahloの人生と創作に関わる出来事を再構成し、来場者がヘッドセットを通して見る区画を設けた。
順路は七つの空間で構成された。「Living Fragments」では顔を認識する仕組みを使い、来場者の肖像をコラージュとして生成する。「Holographic Video」は、Kahloの人生を変えた交通事故を映像で再構成した。「The Dream」は、多くの作品を描いたベッドを起点に、生と死が交わる本人の想像世界を表現する。
このほか、反応型インスタレーション「Infinite Symbology」、絵を教えた場所を扱う「La Rosita」、服装や外見を取り上げる「Fashion Icon」、VR体験を用意した。単一の投影室に伝記映像を流すより、人生の出来事と表現の特徴を別々の体験手法へ割り当てている。
展示はBarcelonaのIDEAL Centre d’Arts Digitalsで先行開催された企画で、Layers of Realityが制作を担当した。同社は既存の絵を壁一面へ拡大するだけでなく、人物の手紙や写真、生きた時代を順路に組み込んでいる。
米国各地と中南米への巡回を計画
2022年3月の発表では、ニューヨーク、ワシントンD.C.、サンディエゴ、プエルトリコ、フェニックス、オースティン、ソルトレイクシティ、ポートランド、セントルイス、マイアミを米国展開先として挙げた。その後はカナダと中南米へ巡回する計画だった。ただし、各都市の会場と日程がすべて確定したという発表ではない。
共同制作には、Frida Kahlo Corporation、スペインのLayers of Reality、米国興行を担うPrimo Entertainmentが参加した。人物の権利や資料を管理する側、デジタル展示を設計する側、各都市で販売・運営する側が役割を分担する巡回モデルである。
原画を使わない巡回展
原作を借り受ける展覧会とは異なり、複製可能な映像と設備を中心にすることで複数都市へ運べる。主催者はマイアミとフェニックスの開催を発表したが、この資料では会場、開幕日、料金、VRの同時利用人数を公表していない。
原画を使わないことは、輸送や保険の負担を抑え、同時期に複数都市へ展開しやすい。一方、「Frida Kahloの展覧会」という名称から原作展示を期待する来場者もいる。発表文が「immersive biography」と説明している通り、本人の作品を鑑賞する原画展と、人生をデジタル表現でたどる本展は役割が異なる。
歴史写真と資料、権利者が監修する人物像、演出として再構成された事故や夢、来場者参加型の生成表現を、同じ事実の水準として見せない工夫が必要になる。どの区画が記録を基にし、どこに創作的な演出があるかが、伝記展示としての信頼性を左右する。
作家名を冠した投影展であっても、何を根拠に物語を構成し、実物資料とデジタル演出をどう分けるかが内容を左右する。本展は「没入型の伝記」と銘打ち、Kahlo本人の歩みを展示の軸に置いた。