ACM、茶の社会的な営みを6つの感覚でたどる「Garden of Senses」
シンガポールのACMがCHAGEE、観光局と組み、茶の文化を6つの感覚と現代アートで扱う期間限定展示。
シンガポールのAsian Civilisations Museum(ACM)は2026年1月13日、新しい茶文化展を発表した。名称は「Garden of Senses / 茶苑梦: A Tea Reverie」。茶ブランドのCHAGEE、Singapore Tourism Board(STB)との共同企画である。
会場はACMのLevel 2 Foyer。会期は同年1月28日から6月7日までで、鑑賞にはAll-access ticketが必要と案内された。歴史資料や現代アート、来場者が参加する体験を通して、アジアの社会で茶が果たしてきた役割を紹介する。
茶を「6つの感覚」で体験する構成
会場は六つのゾーンに分かれる。取り上げる感覚は、視覚、香り、音、触覚、味覚、そして思考だ。作品や参加型の展示を通じ、茶がアジア各地の人間関係や作法、休息の時間とどう結び付いてきたかを扱う。過去の文化遺産にとどめず、現在も変化を続ける「living practice」として紹介する。
展示内には、歴史的な茶器をもとにした3Dプリントのレプリカと、CHAGEEの現代的なカップが並ぶ。このほか、茶葉を思わせる彫刻、音と香りを使う体験、茶づくりの道具に触れる展示がある。自然を参照した共有スペースも設けた。
3Dプリント品は古美術の形や道具を間近で確かめるためのレプリカである。道具を扱う動作や音、香り、会話を通して茶文化をたどる構成だ。
地元作家の新作が加わる
新規委嘱作品には、シンガポールを拠点とするAshley YeoとAlecia Neoが参加した。Yeoの《shade of tea》は、浮遊する紙の形で茶葉を想起させ、ゆっくりと見ること、素材の存在感、静かな知覚を扱う作品と説明される。もう一つの《Symphony of Tea》は、Neoと作曲家Clarence Chungが手がけ、映像をJonathan Goh、録音をWesley Meowが担った。ASMR動画から着想を得て、茶の音、リズム、身振り、人と人のつながりを扱う。こうした個別作品のクレジットを公開しているため、没入型という言葉だけでは見えにくい制作責任の範囲も追える。
企画は館内だけで完結しない。STBの発表では、シンガポール川沿いにCHAGEEのポップアップを展開する。通常の飲料に加え、それまで中国でのみ扱われていた商品も提供するとした。
ACMの展示ページではチケットを購入できる。一方、各ゾーンの所要時間や同時入場数は公表されていない。感覚に制約がある人向けの代替手段、ポップアップの営業時間や在庫も最新の案内で確認する必要がある。
博物館、ブランド、観光局が担った役割
三者の連携は、茶文化の紹介を観光向けの演出だけに寄せないための枠組みでもある。ACMはアジアの美術と文化を扱う館として歴史資料と会場を担い、CHAGEEは現代の茶の器やポップアップを通じて現在の消費・交流の場を持ち込む。STBは、地域のアトラクションと国際ブランドの協働を、シンガポールで新しい体験を生む取り組みとして発信した。公式には本展をACM限定の世界初企画と表現している。
この体制によって、展示は「味見の場」だけにも「収蔵品を見る場」だけにもならない。来場者は茶器の形、手で扱う道具、音や香り、現代のカップ、共有の場を行き来する。ただし、各社の費用分担、来場者数の目標、売上や満足度などの成果指標は公開資料にはない。事業の成否を外部から数値で評価するには、追加の実績開示が必要になる。
展示と川沿いのポップアップを連動
館内では茶器、作品、音、香りを通して茶文化を紹介する。川沿いのポップアップでは、来場者が実際に飲み物を選べる。展示と飲食を一つの企画として同じ期間に展開する形だ。
公式資料では、ACM限定の世界初企画と説明している。ただし、来場者数の目標や三者の費用分担、売上などは公表していない。