あべのハルカスで地上300メートルの「バンジーVR」、展望台に疑似落下体験
地上約300メートルの展望台で、身体を傾ける装置と大阪の3D都市映像を組み合わせた「ハルカスバンジーVR」が始まった。
ロジリシティは2022年7月1日、あべのハルカスの展望台「ハルカス300」で「ハルカスバンジーVR」を同月20日に開業すると発表した。近鉄不動産が共催し、キャドセンターが技術協力を担当。地上約300メートルにある展望台で、あべのハルカスから大阪の街へ飛び降りる感覚をVRで再現するアトラクションだった。 開催場所は展望台59階のエレベーター前。7月20日から8月31日までは毎日、9月は土曜・日曜・祝日に営業すると案内された。展望台への入場料とは別に、体験料金は大人1,000円、中高生900円、小学生700円。対象は7歳以上、体重100キログラム以下だった。
映像を見るだけでなく、身体も逆さまに
参加者はVRゴーグルを装着し、専用の体験装置に身体を預ける。映像の中で地上へ落下する瞬間に装置が身体を傾け、頭が下を向く。視界と姿勢を同時に変えることで、バンジージャンプの落下感を作る仕組みだ。
この装置は、ロジリシティが考案し、国際特許を出願していたVR体験機構を使う。同社が展開していた「どこでもバンジーVR」の新作として、ハルカス300向けに内容を作り直した。実際に飛び降りる設備を超高層ビルへ設ける企画ではなく、安全な室内で身体の向きと映像を組み合わせる疑似体験である。
VR内の大阪は、キャドセンターの3D都市データ「REAL 3DMAP OSAKA」をもとに制作された。参加者が体験の前後に展望台から見る街と、ゴーグル内の都市景観がつながる。既成の山岳風景などを流用せず、開催地から実際に見渡せる大阪を舞台にした点が特徴だ。
高さと演出が異なる2コース
コースは二つから選べた。「絶景絶叫コース」は、あべのハルカスの最頂部にあたる地上300メートルから飛び降りる設定。「眺望満喫コース」は、階段状になった中層屋上の約200メートル地点から始まる。出発地点だけでなく、ゴーグル内で見える景色や演出も異なると案内された。
名称から受ける印象では、前者が強い落下感を求める人、後者が大阪の眺望も味わいたい人に向けた選択肢と考えられる。ただし、公式発表は両コースの所要時間や恐怖度を数値で比較していない。体験内容について確認できるのは、出発地点の高さと映像演出が異なることまでだ。
平日の営業時間は10時から18時、土曜・日曜・祝日は20時まで。当日の受付に加え、事前予約にも対応した。夏休み期間を中心にしつつ、9月は週末へ営業日を絞る運営だった。
展望台の高さをアトラクションに変える
展望台は通常、実際の景色を見ること自体が主な体験になる。ハルカスバンジーVRは、その「高さ」を落下のスリルへ置き換えた。体験場所とVR内の出発地点が同じ建物なので、来場者はゴーグルを着ける前から300メートルという高さを意識できる。
大阪の3D都市データを使ったことにも意味がある。参加者が知っている建物や道路が眼下に現れれば、抽象的な高所映像よりも距離感を想像しやすい。身体を傾ける装置と組み合わせることで、視覚だけに頼らず落下感を補っていた。
高さ300メートルの建物をVR演出に使う
既存施設にVRを置く場合、体験内容が場所と結びついていなければ、別の会場でも成立してしまう。ハルカスバンジーVRは、会場の高さと大阪の眺望を映像、姿勢変化、二つのコースへ落とし込んだ。ハルカス300に来たからこそ試す理由が分かりやすい。
また、展望台側は大規模な屋外設備を増設せずに、眺望とは異なる有料体験を加えられる。既存の場所が持つ特徴を読み取り、VRの中へ持ち込む。その組み合わせが、施設向けXRを単なる機器設置で終わらせない要点になる。