推しと同じ空間を歩く「Hybrid Live-Entertainment」、持ち運べるVR体験を提供
TSP太陽がフリーロームVRを使ったライブ向けサービスを開始。複数人が歩き、会話し、演者へ近づける体験を提案しました。
イベント制作会社のTSP太陽は2022年10月6日、フリーロームVRを使う法人向けサービス「Hybrid Live-Entertainment」を発表した。サービス開始日は10月3日。ライブ、展示、演劇、ファンイベントなどを対象に、コンテンツ制作から会場運営までをまとめて提供する。
ABALの空間圧縮技術を採用
サービスの基盤には、XR制作会社ABALの「ABALシステム」を採用した。TSP太陽は2021年にABALへ出資し、両社でコンテンツを共同開発。ABALの空間圧縮技術は、現実の限られた範囲を歩きながら、より広いVR空間を移動しているように見せる。
参加者は一体型のXRヘッドセットを装着し、自分の足で体験エリア内を歩く。身体の動きはアバターに反映され、同じ会場にいる参加者同士も互いの位置を確認できる。ボイスチャットを使った会話にも対応する。
遠隔地からビデオチャット形式でVR空間へ参加する機能も用意した。現地でヘッドセットを着けた人と、別の場所から入った人が同じ空間でやり取りする構成だ。発表では同時参加人数や通信環境の要件までは示していない。
ボックスプレートで複数の場面を移動
VR空間には複数の場面を作れる。参加者は、自分が乗っている「ボックスプレート」を使って別の場面へ移動する。現実の会場を大きく歩き続けなくても、ライブ会場から展示空間へ移るといった構成を取れる仕組みだ。
体験中には、手を振る、花火を上げるといったアクションも選べる。3Dで再現した出演者を近くで見る、舞台上に立つ位置から演劇を鑑賞するなど、固定カメラの配信とは異なる見せ方を想定した。
TSP太陽が例示した用途には、アーティストやキャラクターとの交流空間、3D撮影したアーティストが出演するステージ、衣装や原画の展示がある。物販や投げ銭の機能も実装可能としていたが、実際の導入事例や売上実績は発表時点では掲載していない。
機材を会場へ運んで設置する
発表によると、体験に必要な最小構成はヘッドマウントディスプレイとPC。少人数のスタッフと小さなスペースでも実施でき、会場ごとに機材を用意すれば複数拠点で同時開催できると説明した。
ただし、「最小構成」は一人分の機材を示した説明であり、イベント全体の設備がヘッドセットとPCだけで済むという意味ではない。複数人を受け入れるには、人数分の機材と安全に歩ける範囲が必要だ。装着案内や衛生管理を担うスタッフ、安定した通信環境も欠かせない。
料金は一律に定めず、問い合わせ後に予算や用途に応じて提案する方式だった。デモ体験も受け付けていた。対応人数、制作期間、設営時間などの標準値は公表していない。
イベント会社が制作から現場運営まで担う
「Hybrid Live-Entertainment」は、IPや会場に合わせて内容を作る法人向けの制作・運営サービスだ。イベント会社がフリーロームVRを使い、空間の設計や施工から当日の運営まで受け持つ。
持ち運べる構成は期間限定イベントと相性がよい。一方で、複数会場へ展開しやすいかどうかは、必要なスタッフ数や設営時間、コンテンツ制作費で変わる。今回の発表には導入先や運営データがないため、実用性の評価には実際の開催事例を確認する必要がある。