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「Immersive Museum」が日本橋で開幕、印象派の絵画を壁と床へ投影

高さ6メートル、約700平方メートルの会場で、モネやドガ、ルノワールの作品を壁と床へ投影する没入型展覧会が開幕した。

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Immersive Museum日本橋で印象派の作品が壁面へ投影された会場
画像:Immersive Museum実行委員会提供、公式発表より(報道引用)

「Immersive Museum」は2022年7月8日、東京・日本橋の日本橋三井ホールで開幕した。日本での第1弾テーマは「印象派」。モネやドガ、ルノワールの絵画を映像にし、壁と床を覆う投影と音響で来場者を包む展覧会だった。会期は10月29日まで。

会場は高さ6メートル、約700平方メートル。絵画を額縁の中で見る展示とは異なり、来場者は広い屋内空間を自由に歩き、座る場所や立つ位置を変えながら映像を鑑賞できた。運営はImmersive Museum日本橋実行委員会、佐々木ホールディングス、電通。電通とドリルが企画制作を担った。

モネ、ドガ、ルノワールを壁と床へ

上映に使われたのは、クロード・モネの「睡蓮」、エドガー・ドガの「踊り子」、ピエール=オーギュスト・ルノワールの「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」など。会場に原画は並ばない。作品の一部を拡大したり、絵の要素を動かしたりしながら、複数の面へ連続して投影した。

映像は視線の先から足元まで広がる。来場者がどこを向くかによって、同じ場面でも見える範囲は変わる。音楽と映像の流れは会場全体で共有されるため、ヘッドセットを装着するVRとは違い、家族や友人と同じ場面を同時に見られる構成だった。

公式アンバサダーを務めた俳優の杏は、開幕前日の内覧会に参加。絵の中へ入る感覚や、筆の動きまで感じられるような体験について語った。会場では、印象派を専門とする美術史家の坂上桂子と、「13歳からのアート思考」の著者・末永幸歩を交えたトークも行われた。

印象派以外の作品も期間を分けて上映

メインの印象派プログラムに加え、MUTEK.JPによる「ETERNAL Art Space」から二つの作品を上映した。7月8日から8月31日までは、中山晃子と澤渡英一の「泡沫の形」。ライブパフォーマンスの記録から、色彩や水、泡の動きを再編集した映像作品である。

9月1日から会期最終日の10月29日までは、THINK AND SENSEとIntercity-Expressによる「Stillness」に切り替えた。京都・両足院を高精度レーザースキャンで三次元化し、点で構成した景観と現地の音を組み合わせ、禅を題材にした作品だった。会期の途中で別作品を加えることで、印象派以外のデジタル表現にも触れられる構成にしていた。

子どもの体験を持ち帰る絵本キット

小学生以下の来場者には、雑誌「VERY」と共同制作した絵本キットを無料で配布した。印象派絵画のシールを貼り、会場で感じたことをもとに自分の物語を作る内容だ。映像を見たあとにも手を動かし、体験の記録を残せるようにした。

入場料は大人2,500円、中学生から大学生・専門学生までが1,500円、小学生以下は無料。ただし、小学生以下だけでは入場できず、保護者1人につき最大3人まで同伴できる条件だった。会場はコレド室町1の5階で、東京メトロ三越前駅から直結していた。

ホールを期間限定の没入空間へ

日本橋三井ホールは、原画を収蔵する美術館ではない。そこへ投影機材と音響を組み、約4カ月間の展覧会場へ変えた。壁面と床面を一体で使うため、来場者は正面のスクリーンだけを見る必要がなく、会場の好きな場所から作品を体験できる。

一方で、Immersive Museumが提示するのは、原画の大きさや絵具の質感を間近で確かめる鑑賞方法ではない。名画を素材にした映像作品として、音や動き、空間の広がりを楽しむ企画である。原画展と同じものとして扱うより、作品へ関心を持つ別の入口として捉えるほうが内容を理解しやすい。

ヘッドセットなしで同じ映像空間を共有

この形式ではゴーグルの着脱がなく、同じ空間にいる人が映像と音を共有できる。親子向けの絵本キットや、期間を分けた追加作品も、幅広い来場者を受け入れる設計につながっていた。

日本橋での開催は、ホールを投影型の展覧会へ転換し、印象派という知られた題材を入口にした事例だ。鑑賞者が歩く場所を選び、複数人で同じ場面を体験する。その共有性が、1人ずつ機器を装着するXRとは異なる、イマーシブ展示の特徴として表れている。