豪州国立博物館、実物資料と360度演出でPompeii展を開催
90点超の出土品と15分ごとの360度噴火演出を組み合わせた、豪州国立博物館のPompeii展を追う。
キャンベラのNational Museum of Australia(NMA)は2024年9月10日、特別展「Pompeii」の開催を発表した。古代都市ポンペイを題材にした展覧会で、会期は同年12月13日から2025年5月4日まで。NMAの公式記録によると、南半球では初公開となった。
展示した実物資料は90点を超える。多くはポンペイ考古学公園の所蔵品で、音響と大型デジタル投影による空間演出も組み合わせた。
発掘品を中心に、都市の生活と災害を見せる
会場には、幅3メートルを超えるフレスコ画やモザイクを展示した。宝飾品と彫刻、陶器も並び、噴火で亡くなった人々の石膏像をもとにした複製も含まれた。展示品の一部は、発表前の6年間に発掘された資料だった。オーストラリアで初めて公開された品もある。
選定を担ったNMAのキュレーター、リリー・ウィズィカム博士は、日用品を通じて当時の暮らしを伝える意図を説明した。展示には調理器具や毛抜きも含まれている。
構成は、西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火だけを再現するものではない。噴火前の都市生活から破壊、その後の再発見と近年の発掘までを扱った。出土品と映像を行き来しながら、異なる時代を紹介する内容だった。
NMAの公式記録では、近年発掘された資料の一部が欧州外で未公開だったことも確認できる。
15分周期の噴火演出と国際共同制作
大型映像のハイライトは、15分ごとに実施されたヴェスヴィオ火山噴火の360度再現だ。来場者は音と投影に囲まれながら災害の局面に入るが、その前後には実物資料を観察する時間が置かれる。映像だけで完結させず、物質資料を同じ導線に置くことで、再現映像の臨場感と、考古学的根拠を担う出土品の役割を分けた設計になっている。NMAは通常の総合入館無料とは別に、この特別展のチケットを2024年10月下旬に発売すると告知していた。
NMAは、ポンペイ考古学公園とGrand Palais、GEDEON Experiencesとの協働で開催した。原展「Pompeii Immersive」は、Réunion des Musées Nationaux–Grand PalaisとGEDEON Experiencesが制作している。ポンペイ考古学公園が協力した。
発表時には、NMAがこの3者と巡回契約を結んだ世界初の会場になると説明された。考古学公園が所蔵品を担い、フランス側の組織が原展を制作し、NMAがキャンベラで受け入れた。
会期終了後も公式記録を公開
展覧会は2025年5月4日に終了した。NMAは現在も公式ページを残し、会期と協働先、展示内容を確認できるようにしている。開催中の展示として案内されないよう、ページには終了済みと表示されている。
一方、会期全体の来場者数は公式ページに掲載されていない。15分ごとの映像演出で一度に何人を受け入れたか、実物資料の展示区間にどれだけ滞在したかも未公表である。