← INDEX

体験コンテンツ公開:

ノートルダム大聖堂の歴史をARでたどる巡回展、ワシントンで北米初公開

来場者が専用タブレットをかざし、中世の建設から火災後の修復までをARで見る展覧会が開催されました。

REVIEWED
HistoPadを使ってノートルダム大聖堂の歴史を見る来場者
画像:National Building Museum/Histovery提供、公式発表より(報道引用)

米国ワシントンD.C.のNational Building Museumは2022年4月6日、ノートルダム大聖堂を扱うAR展の開催を発表した。名称は「Notre-Dame de Paris: The Augmented Exhibition」。会期は同年4月15日から9月26日まで。大聖堂で火災が発生してから3年となる日に開幕し、同展としては北米初開催だった。

展示は、フランスのHistoveryが、大聖堂の保存と修復を担う公的機関と共同で設計・制作した。National Building Museumにとっては、ARを中心に据えた初の体験型展示でもある。化粧品会社L'Oréalが単独スポンサーを務めた。

HistoPadで850年の歴史をたどる

入場者には、Histoveryが開発したタッチパネル式タブレット「HistoPad」が渡された。端末を展示内の指定地点で使うと、その場所に対応した過去の様子が画面に表示される。来場者は約850年にわたる大聖堂の歴史を、自分の順路とペースで見て回る。

取り上げられた場面には、中世の建設現場、ナポレオン1世の戴冠式、建築家ウジェーヌ・ヴィオレ=ル=デュクが設計した尖塔の建設がある。建築の年代を並べた年表も用意され、複雑な構造と当時の工法を確認できた。

発表は「360度のAR没入体験」と説明しているが、ヘッドマウントディスプレイを使う展示ではない。来場者が手に持つ専用タブレットを通して、復元された場面を見る方式だ。端末の台数、画面サイズ、対応言語、利用者の位置を検出する技術は公表資料に記載されていない。

模型、音、窓の装飾も会場に配置

会場にはHistoPad以外の展示物も置かれた。床には大聖堂の床面を模したビニール素材を敷き、博物館の歴史的な窓にはステンドグラスを再現した装飾を加えた。ノートルダムのオルガンと鐘の音を流し、バラ窓を投影する演出も組み合わせている。

大型写真パネルや大聖堂の模型に加え、実物大のキメラ像と彫像も展示された。端末画面だけで完結させず、写真、立体物、床、窓、音響を使って大聖堂の建築要素を会場内へ移している。

2019年の火災と修復作業も紹介

展示は、大聖堂の完成後の歴史だけを扱うものではない。2019年4月15日の火災と、建物や収蔵品を守るために数時間にわたって活動したパリ消防隊も紹介した。火災後に必要となった建物の安定化や、複雑な建築を再建する作業は、HistoPadで作業員の姿とともに見られる構成だった。

中世から現代までを一つの順路に収めたことで、建設、改修、災害、修復という建物の変化を時系列で追える。発表時点で大聖堂は修復中だったため、現地を訪れても見られない工事の過程が展示内容に含まれた。

入館条件の詳細は別案内

公式発表には会期と会場が記載されている一方、観覧料、所要時間、対象年齢、混雑時の端末貸出方法は載っていない。タブレットを使いにくい来場者への補助や、視覚・聴覚に関する対応も確認できない。訪問時の条件は、National Building Museumが公開する案内を別途確認する必要があった。