Nychosの没入型個展がロサンゼルスで開幕、解剖図を映像と彫刻へ展開
Mirus Galleryが、絵画、彫刻、アニメーション、投影を組み合わせたNychosの個展を開催した。
Mirus Galleryは2022年2月15日、オーストリア出身のアーティストNychosによる個展「The Awakening」をロサンゼルスで開催すると発表した。会期は2月22日から5月1日まで。絵画を壁に並べるだけでなく、投影、アニメーション、彫刻、来場者が操作する作品を一つの会場に組み込んだ。
解剖図を平面の外へ広げた展示
Nychosは、動物や架空の登場人物を切り開いたように描き、骨格や内臓を層ごとに見せる作風で知られる。本展では、その図像を大型絵画と彫刻に加え、動く映像にも展開した。公式発表は、新作と過去10年間の作品を通して、身体、意識、死と再生を扱う内容だと説明している。
展示名の「Awakening」は、作家自身が経験した健康上の危機と、その後の制作の変化に結び付けられていた。人体や動物を分解して描く既知の表現を続けながら、意識、精神性、再生へ題材を広げた。過去作の回顧だけにせず、新作との違いを同じ会場で見せる構成だった。
平面作品では、皮膚、筋肉、骨格、内臓を分離した層として描く。鑑賞者は一枚の絵を見ながら、外側から内部へ視線を移す。彫刻とアニメーションにすると、その層の前後関係や回転を実際の空間と時間で示せるため、作家の図像を別の方法で読める。
会場には、鑑賞者の動きに反応する作品も用意された。固定された一点を見るのではなく、作品の前を移動しながら見え方の変化を確かめる構成である。壁画を中心に活動してきた作家の線と色を、屋内の照明、立体物、映像へ置き換えた。
絵画から投影・立体・反応型作品へ
発表では、絵画、彫刻、アニメーション、投影、インタラクティブ作品を展示すると案内した。技術ごとに独立したデモを並べるより、一人の作家が繰り返してきた解剖表現を共通の軸にしている。媒体が変わっても、何を見せたいのかを見失いにくい。
来場者の動きに応じる作品では、立つ位置や動作によって映像が変化する。全員へ同じ完成画像を見せる絵画とは鑑賞条件が異なり、前の人の動きも見え方へ影響する。反応の仕組みやセンサーの種類は公式発表に記載されていないため、具体的な技術方式は断定できない。
ギャラリーを一つの演出空間として使用
展示場所はロサンゼルス中心部のMirus Gallery。入場は時間指定制で、オープニング当日にも予約枠が設けられた。作品ごとに独立した説明を読む一般的な個展とは異なり、会場全体を作家の世界観へ入るための空間として扱っている。
会期は2022年2月22日から5月1日まで。2月22日の開幕イベントは時間枠を分け、来場登録を受け付けた。投影や反応型作品を含む会場では、作品前へ人が集中すると体験しにくくなるため、入場時間の管理には鑑賞環境を保つ役割もある。
Nychosは大規模な壁画でも知られるが、今回は照明と機材を制御できる屋内へ作品を移した。都市の壁面で作品を大きく見せる手法に、投影の時間変化や来場者の入力を加えられる点が、ギャラリー展示の特徴となった。
発表資料には、投影機の台数、体験人数、鑑賞時間は記載されていない。ただし、絵画の展覧会に映像とインタラクションを加え、滞在中の身体移動まで作品の一部にした点は確認できる。