ラムセス2世展がヒューストンで世界初公開へ、181点の実物資料にVRを追加
アブ・シンベル神殿とネフェルタリ王妃の墓を巡るモーションVRを、古代エジプトの実物展示へ組み込んだ。
Houston Museum of Natural Science、Cityneon、World Heritage Exhibitionsは2021年8月12日、「Ramses the Great and the Gold of the Pharaohs」を11月20日に世界初公開すると発表した。エジプト政府のSupreme Council of Antiquitiesが協力し、ラムセス2世に関する実物資料181点を展示した。
神殿と王妃の墓をモーションVRで巡る
別料金のVRでは、アブ・シンベル神殿とネフェルタリ王妃の墓をアニメーションで再現。来場者は動く座席に座り、砂嵐や神殿上空を飛ぶ場面を体験する。案内役は王妃ネフェルタリの姿を取り、夫ラムセス2世のもとへ戻る物語を進める。
VRは、現地の建築を写真で順番に見せるだけの資料ではない。座席の動きと360度映像を組み合わせ、砂嵐の中から神殿へ近づき、内部を抜ける移動として構成された。王妃を語り手に選ぶことで、二つの遺跡を一つの物語へつないでいる。
アブ・シンベル神殿とネフェルタリ王妃の墓は、実物をヒューストンへ運べない。VRなら建築の規模や内部空間を疑似的に見せられるが、復元した色、視点、飛行場面には制作側の解釈が含まれる。実写記録と再現映像を区別できる説明が必要になる。
実物の副葬品や彫像を読む展示と、現地へ行かなければ見られない建築を疑似的に巡る体験を分けた構成である。VRの映像は資料そのものではないため、復元と演出の範囲を理解して鑑賞する必要がある。
181点の実物資料を展示の中心に置く
本展には、彫像、宝飾品、王家の品、ミイラ、棺など181点が含まれた。ラムセス2世の治世だけでなく、古代エジプトにおける王権、宗教、埋葬を実物資料からたどる。VRはこれらを置き換える主展示ではなく、建築と物語を補う追加プログラムだった。
資料はエジプト政府のSupreme Council of Antiquitiesの協力で貸し出された。文化財を国際巡回させる展示では、輸送、温湿度、警備、保険といった条件が必要になる。デジタル体験だけの巡回展より運営負荷は大きいが、来場者が実物と再現映像を比較できる点に価値がある。
10都市を巡る展示として制作
ヒューストンを起点に10都市を巡回する計画で、一般料金は大人35ドル、子どもと60歳以上は27ドルと案内された。VR料金、1回の定員、所要時間は発表に載っていない。
発表時点では、ヒューストンで2021年11月20日に始めた後、世界10都市を回る計画だった。Cityneon傘下のWorld Heritage Exhibitionsが巡回を担い、Houston Museum of Natural Scienceが最初の会場となった。実物資料用の展示設備とVR装置を都市ごとに再構築する必要がある。
チケットは日時指定で、大人35ドル、子どもと60歳以上27ドルから。VRは別料金とされたが、その金額、1回の人数、体験時間は発表文に載っていない。基本展示と追加体験の価格を分けたことまでは確認できる。
実物資料を中核に置きながら、建築空間と物語をVRで補う方式は、文化財の輸送だけでは作れない視点を来場者へ加えた。