Ann Arbor Hands-On MuseumにSTEAM PARK、23の装置で機械の仕組みを体験
Toyotaの技術者と共同開発した二層の展示室に、歯車や空気、水の動きを操作できる23作品を設置した。
Ann Arbor Hands-On Museumは2021年8月、体験型展示室「STEAM PARK」を開設した。Toyota Motor North America Research & Developmentの技術者と共同で23の展示を制作。歴史的な消防署を利用する館内の二つの階に、機械、空気、水、光を操作する装置を配置した。対象は幼児から大人までで、来館者が試行錯誤しながら科学、技術、工学、芸術、数学に触れる常設展示として整備された。
内部の動きを透明な素材で見せる
展示物は、通常なら筐体に隠れる歯車やベルト、空気の流れを透明な板越しに観察できる。高さ16フィート(約4.9メートル)のボール迷路では、来館者がクランクやレバーを操作し、球が装置内を移動する仕組みを確かめる。操作に対する結果がすぐ目に見えるため、説明文を読む前でも装置の因果関係を試せる。
17世紀のタイムスイッチ時計を題材にした装置や、空気圧で物を動かす展示、車両開発に関わる考え方を応用した展示もある。来館者同士が協力して動かす装置も含まれた。画面上で答えを選ぶ形式を避け、手を動かした結果が物理的に返るよう作られている。
この展示でいう「インタラクティブ」は、タッチパネルを置くことだけを指さない。装置の中身を隠さず、動力がどの部品を経て結果へつながるのかを見せる。壊れにくさや安全性を保ちながら内部構造を観察できる点に、企業の技術者が参加した意味が表れている。
企業技術者が展示開発へ参加
Toyotaのエンジニアは博物館スタッフと共に設計と試作を行った。日常の機械を成立させる原理を、子どもが触って確かめられる遊びへ置き換えた。博物館と実務で工学に携わる社員が、企画段階から展示開発へ入った共同プロジェクトである。
企業協賛の展示では、製品ロゴや映像の紹介に寄りやすい。STEAM PARKは、Toyotaの完成車を見せるより、設計者が普段扱う機械の原理を来館者の行動へ翻訳した。企業の専門知識を施設体験へ持ち込んだ事例として読み取れる。
発表資料には開発費、各装置の利用人数、更新周期は記載されていない。展示室は通常入館料で利用でき、独立した有料アトラクションではなかった。来場者が複数の展示を自分の順番で巡るため、一本の物語を最初から最後まで追う体験とも異なる。23の小さな操作を一つの空間へ集め、滞在中の発見を積み重ねる展示である。
子どもの操作を起点に学びを組み立てる
STEAM PARKでは、先に知識を説明してから理解度を測る順序を取らない。来館者は目の前の部品を動かし、予想と違う結果が出れば、別の操作を試す。歯車の向きや空気の圧力といった概念は、その試行を言葉で整理するときに現れる。
展示が二層に分かれていることも、一斉に始まり一斉に終わる教室とは違う動きを生む。家族は年齢や関心に合わせて装置を選び、同じ展示へ戻ることもできる。短い操作を自由に組み合わせる設計が、ハンズオン型博物館の滞在を支えている。