teamLab Botanical Garden Osakaが長居植物園に開業、自然環境を夜の作品へ
植物や風、来場者の動きに反応するデジタル作品を屋外に配置し、夜間の植物園を常設展示にした。
チームラボは2022年7月29日、大阪市の長居植物園に常設展「teamLab Botanical Garden Osaka」を開業した。約24万平方メートルの植物園を夜間に使用し、光、音、デジタル技術を使う作品を屋外に配置した。
植物園を暗くなってから作品化
昼間は既存の植物園として営業し、日没後に展示が始まる。木々や池、草地を取り除かず、植物の形や風の動きを作品の一部にした。季節によって葉の量や景色が変わるため、同じ場所でも見え方が一定ではない。
園内には、触れると光が変化する卵形の造形、池の水面を使う作品、鳥の群れを光で描く作品などを設置した。来場者の接触や近づき方に反応し、その変化が周囲の光へ伝わる作品もある。
展示の核にあるのは、自然を傷つけずに自然そのものを作品へ変えるというチームラボの「Digitized Nature」の考え方だ。映像投影用の平らな壁を新設せず、ユーカリの木立、ラクウショウの森、池、草原といった園内の環境を作品の場所として使う。光の輪郭や音の聞こえ方は、植物の成長や風、雨、人の動きによって変わる。
例えば、池では水面に光の線を描き、風や生き物の動きによって像を揺らす。地面に点在する卵形の作品は、人に押されると色と音を変え、その反応が近くの作品へ連続していく。木々の間を飛ぶ鳥の群れを表現した作品は、事前に用意した映像の一方向再生ではない。その場の状態に応じた像をコンピューターで描き続けるため、来場する日や立つ位置が変われば、同じ場面がそのまま再現されるとは限らない。
約24万平方メートルを歩いて鑑賞
長居植物園は1974年に開園し、広い園内に約1,200種の植物を育ててきた。常設展はこの既存環境を巡る夜間の歩行体験として構成されている。鑑賞者は一つの展示室にとどまらず、屋外を移動しながら、木立、池、広場ごとに異なる作品と出会う。
この構成では、作品を鑑賞する時間だけでなく、次の場所まで歩く時間も体験に含まれる。光が見える方向を頼りに進み、暗さの中で植物の匂いや気温、足元の感触を意識する。デジタル表現だけを切り離して見る展覧会とは異なり、植物園が持つ広さと夜の環境が欠かせない条件になっている。
昼と夜で異なる用途を重ねる
既存施設の閉園後に、昼間とは異なる入場機会を設けた。植物を保全しながら照明機材を常設し、毎夜の点検と天候判断を行う運営になる。
昼は植物を観察する公共施設、夜は有料のアート体験として、一つの場所を時間帯で使い分ける。新しい建物を一から造る方式に比べ、長居植物園がすでに持つ景観や植生を体験価値へつなげている点が特徴だ。その一方で、屋外ならではの暗さ、気温、雨、足元への案内が必要になる。公式サイトでも、歩きやすい靴での来場や、季節に合った服装を案内している。
開業時の入場料は大人1,600円からで、曜日などにより異なった。屋外展示のため、雨天でも開場する一方、荒天時には中止する場合がある。自然環境を背景ではなく、時間とともに変化する展示素材として扱った施設である。