アジア美術館の新パビリオンで「teamLab: Continuity」開幕
サンフランシスコ・アジア美術館の新パビリオンで、作品同士が部屋の境界を越えて影響し合う長期展が始まりました。
teamLabの個展「teamLab: Continuity」は2021年7月23日、サンフランシスコ・アジア美術館で開幕した。増築された「Akiko Yamazaki and Jerry Yang Pavilion」のオープニング展で、長期開催を予定していた。
同館は6,000年以上にわたるアジアの美術品を1万8,000点以上所蔵する。teamLabは、歴史的な収蔵品と現代のデジタル作品を同じ美術館で見せ、過去と現代の連続性を考える展覧会として企画した。
作品が別の部屋へ移動する
展覧会の軸は、各作品を独立したものとして扱わないことだった。映像内の鳥や魚、書の線などが展示空間から出て、別の作品へ入る。そこでほかの要素と接触し、花を散らすなど互いの状態を変えていく。
映像は録画を繰り返し再生する方式ではない。コンピュータプログラムがリアルタイムで描画し、来場者の動きや作品同士の反応によって変化する。同じ状態は再現されず、その瞬間の構成が続いていく。
作品同士が部屋の境界を越える構成は、新設されたパビリオンのオープニング展として公開された。個々の映像を見る順路よりも、別の部屋から来た鳥や魚、書の線が空間を移る様子が展覧会全体をつないだ。
花は人の動きで生まれ、散る
「花と人の森、埋もれ失いそして生まれる」では、複数の季節が一つの空間に存在する。花は生まれて成長し、つぼみから開花を経て、散って枯れる循環を続けた。
来場者が静止すると、その周囲では普段より多くの花が生まれる。花へ触れたり踏んだりすると、一斉に散る。人が作品を鑑賞するだけでなく、立つ場所と動きが花の状態へ反映された。
「追われるカラス」の作品群では、光で描かれた八咫烏が壁と床を越えて飛ぶ。カラスは来場者を避けようとし、ぶつかると花へ変わった。別の空間へ移動したカラスが、ほかの作品の花や文字にも影響を与えた。
上海と光を送り合う巨石
「空間を越えて共有する巨石」は、上海のteamLab Borderlessとサンフランシスコの会場を結ぶ作品だった。上海側の通路を浮遊する巨石が壁へ入り込み、その反対側がサンフランシスコの壁から現れる設定だ。
サンフランシスコで巨石に手を近づけると青く光り、その光が上海側へ流れる。上海の来場者が反対側へ触れると赤く光り、サンフランシスコ側に届いた。二つの展示会場にいる来場者が同じ作品の両側へ働きかける構成だった。
青い光はサンフランシスコから上海へ向かい、赤い光は上海から届く。来場者は、壁から現れた一つの巨石と光の色を通じて、遠くの会場にいる誰かの接触を知った。
描いた魚が世界の展示へ泳ぐ
「スケッチオーシャン」では、来場者が紙に魚を描く。読み取られた魚は目の前の海へ現れ、ほかの来場者が描いた魚と一緒に泳いだ。画面内の魚へ触れると逃げ、餌袋に触れると餌を与えられた。
魚は部屋を出て、ほかの作品の中も泳ぐ。マグロは美術館の外へ進み、世界各地で開催されている別のスケッチオーシャンへ移動する設定だった。ほかの会場で描かれたマグロが、サンフランシスコへ泳いで来ることもあった。
会場内では、来場者が描いた魚が部屋の境界を越えて泳ぐ。そのうちマグロは美術館の外へ進み、世界各地のスケッチオーシャンと行き来する。館内を移動する魚と、展示会場そのものを越えるマグロを分けた構成だった。
事前予約制で長期開催
会場は200 Larkin Street。開館時間は月曜、金曜、土曜、日曜が午前10時から午後5時まで、木曜は午後1時から8時までだった。火曜と水曜は休館。入場には全日程で事前予約が必要だった。
通常の平日は大人20ドル、13歳から17歳と大学生、65歳以上は15ドル。土日は大人25ドル、対象の学生・シニアは20ドルだった。木曜午後5時以降と毎月第1日曜には割引料金を設け、12歳以下と美術館会員は無料だった。
展覧会には、花、八咫烏、魚、書、蝶、巨石を題材にした作品が並んだ。それぞれの映像は部屋の中で完結せず、別の作品へ入り、花を散らしたり、文字から新たな景色を生んだりする。来場者が立つ、触れる、描くといった行為も、その場の映像を変える。作品、展示室、来場者、遠隔地の会場を連続した一つの世界として見せる個展だった。