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TIMEが「The March」を公開、キング牧師の演説をVRで追体験

1963年のワシントン大行進を再現し、博物館内で群衆の一人として演説を聞くVR展示が始まりました。

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The Marchを制作したTIME Magazineの公式ロゴ
画像:TIME Magazine提供(公式発表より)

TIME Studiosは2020年2月20日、VR展示「The March」を発表した。題材は1963年8月28日に行われた「仕事と自由のためのワシントン大行進」と、Martin Luther King Jr.による「I Have a Dream」演説である。2月28日からシカゴのDuSable Museum of African American Historyで一般公開し、当初は同年11月までの開催を予定していた。展示はTIMEのMia Tramzと、GRX Immersive LabsのAlton Glassが共同で制作した。Viola Davisが製作総指揮とナレーションを担当。歴史監修にはKarcheik Sims-Alvarado博士が入り、TIMEの報道資料と数千時間に及ぶ調査を基に再現したと説明している。

1963年の行進と演説をVRで再構成

参加者はVRヘッドセットを着け、ワシントン大行進の群衆の中へ入る。Kingの姿は、当時の映像をそのまま立体化したものではない。俳優の演技を記録し、VRと映画制作の工程を組み合わせて作ったデジタルモデルである。人工知能と機械学習も制作に使われた。

同じKingの3Dモデルは、TIME特別号の表紙にも使われた。表紙はアーティストのHank Willis Thomasが制作。展示内では、そのモデルが演説する場面をVRで見る。TIMEは人間の演技を写実的に再現した点を訴求していたが、史料映像とCGによる再現映像は区別して受け取る必要がある。

作品の開発にはKingの遺産管理団体のライセンス元であるIntellectual Properties Managementが協力し、TIMEへ開発権を与えた。American Family Insuranceが協賛した。制作期間は3年以上と説明されているものの、制作費と展示の入場料は発表資料に記載されていない。

複数の映像・VRスタジオが制作に参加

TIME Studiosは、次の制作会社と共同で作品をつくった。

  • V.A.L.I.S.studio
  • Verizon Media傘下のRYOT
  • Digital Domain
  • JuVee Productions

展示空間の設計はLocal Projectsが担当。VR機器には、HTCのVR for Impactプログラムが提供したVIVE Focus Plusを使用した。

発表資料には1回の体験時間、同時に利用できる人数、必要な床面積が載っていない。ヘッドセットの清掃方法、対象年齢、眼鏡を着けたまま利用できるかどうかも不明である。博物館の展示として運営する際の予約方式と案内言語も、この発表だけでは確認できない。

Joyce Ladnerの証言を音声質問で聞く

VR体験に加え、TIMEはStoryFileと対話型の映像展示を制作した。登場するのは、公民権運動家のJoyce Ladner。来場者が声で質問すると、あらかじめ収録した証言映像の中から質問に対応する回答を再生する仕組みだった。

これは、その場でLadner本人が話す仕組みではない。人工知能を使って質問内容と収録済みの回答を対応させる。VRで大行進の全体像を再現した後、運動へ参加した一人の証言を聞けるように展示を分けていた。

再現映像と本人の証言を分けて展示

The Marchは、歴史上の出来事をデジタルで再現するVRと、本人の記録映像を使うStoryFileの展示を組み合わせた。前者には演出とCG制作が入り、後者は事前収録した証言が情報源となる。展示の構成上、来場者は二つを続けて体験できた。

TIMEの発表には、来場者が史実と演出をどのように区別できるよう案内したかは書かれていない。体験後の理解度を測る調査結果も公表されなかった。2020年2月時点で確認できるのは、歴史監修者と権利者の協力を得て制作し、DuSable Museumで11月まで開催予定だったことまでである。