仮想イベント基盤「VARP」提供開始、ライブと交流を同じ空間に
音楽ライブや展示、参加者同士の交流をスマートフォンで共有できる仮想イベント基盤が始まりました。
クリエイティブ集団のPARTYは2020年5月26日、仮想イベントを構築するシステム「VARP(ヴァープ)」の提供を始めた。イベントごとの仮想空間を制作し、iOSとAndroid向けの専用アプリとして配布する仕組みだ。
利用者はアバターで会場へ入り、パーク内を自由に歩く。音楽ライブや映画、アート展示などを、同じ空間に入った世界各地の参加者と同時に体験する用途を想定していた。
主催者ごとに仮想パークを制作
VARPは、完成した一つの共通会場へ複数の催しを入れるサービスとして発表されたものではない。PARTYが主催者やアーティストに合わせ、景観、アバター、アイテム、ステージ演出を個別に制作する。発表資料では、この方式を「カスタムメイド」と表現していた。
一つのパーク内には、複数のステージやパビリオンを設置できる。利用者は公演の映像を見るだけでなく、会場内を歩いて別の場所へ移動する。出演者の3Dモデル制作とモーションキャプチャーにも対応可能としていた。
配信方法はライブ、アーカイブ、同じ内容を複数回届けるリピート開催に対応する。公演の時間に参加できない利用者向けに録画を残したり、時差のある地域に同じ催しを届けたりする運用を組める仕様だった。
距離と方向を音へ反映
音響には、アバターと音源の距離、向いている方向をリアルタイムに反映する仕組みを採用した。ステージへ近づけば音の聞こえ方が変わり、会場内を歩く動作と音響が連動する。
この機能により、利用者がパーク内のどこに立つかで音の聞こえ方が変わる。発表資料には同時参加人数、会話機能、対応する通信環境の数値は記載されていない。
アプリ内物販も搭載予定
収益機能として、アプリ内課金による物販を搭載する予定だった。販売対象がデジタルアイテムか実物商品か、決済手数料や売上分配をどうするかは、提供開始時の発表では明らかにされていない。
PARTYは、現実の催しと仮想イベントの同時開催や、現地で取得したデータを仮想空間へ反映する利用法も構想していた。新型コロナウイルスの影響で公演中止が相次いだ時期の発表だが、同社は現地公演をそのまま置き換える用途だけに限定していなかった。
第1弾ライブを同年7月に予定
VARPを使った最初の企画として、アーティストとのコラボレーションライブを2020年7月に開催すると予告した。出演者、開催日、チケット料金などの詳細は6月に改めて案内するとしており、5月26日の資料には掲載されていない。
PARTYは、それ以前にAIと人が共同制作した「GANGU」を日本科学未来館へ常設していた。成田空港第3ターミナルの空間デザインや、SoftBank 5Gを使ったFUJI ROCK '19の企画も手掛けた。VARPでは、こうした空間設計や映像制作の経験を、スマートフォン向けの仮想会場へ持ち込んだ。
発表時点で確認できるのは、主催者向けの機能と第1弾企画の予告までだ。導入費用、制作期間、運用実績、参加者数は公表されていない。