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ニュース2026年9月8日

Venice Immersiveが10周年、26カ国68作品を島内で公開

ベネチア国際映画祭のXR部門が10周年を迎えた。68作品の展示方法と、施設型XRへつながる市場機能を紹介する。

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ベネチアの歴史的建築を使った会場で、来場者がVRや没入型映像を体験する編集部制作イメージ
画像:LBE Magazine編集部制作(OpenAI画像生成)

第83回ベネチア国際映画祭のXR部門「Venice Immersive」が、2026年9月2日に開幕した。会期は12日まで。会場はリド島の対岸にあるラッザレット・ヴェッキオ島で、26カ国から選ばれた68作品を展示している。

Venice Immersiveは今年で10周年を迎えた。映画祭がVR作品を試験上映した2016年を経て、2017年に主要映画祭で初めてVR作品の公式コンペティションを設けた。名称は2022年にVenice VRからVenice Immersiveへ変わり、対象もVR映像からMR、インスタレーション、オンラインの仮想世界まで広がっている。

68作品を一つの島で見せる

2026年の内訳は、コンペティション30作品、過去1年間の注目作を紹介する「Best of Immersive」35作品、制作支援プログラム「Biennale College Cinema – Immersive」の3作品だ。Best of Immersiveには会場で体験する9作品に加え、VRChatなどで公開される26の仮想世界が選ばれた。

会場は午前10時から午後10時まで開き、各作品は専用サイトから時間を予約して体験する。島へはリド島側から無料の水上バスで約3分。映画祭の一部でありながら、上映時刻に作品を見る映画館とは異なり、来場者が島内を移動し、作品ごとの機材を装着して巡る展示施設として運営されている。

この形式はLBEにも近い。作品の内容だけでなく、限られたブース面積、予約枠、機器の着脱、スタッフの説明、次の来場者への入れ替えまでが鑑賞体験を左右するためだ。公式規定によると、選出作品には技術要件に応じた約5〜10平方メートルの標準ブースが用意される。

歩いて体験する宇宙から180度映像まで

出展作の形式は一様ではない。コンペティション作品「Smithsonian Starstruck: An Immersive Experience」は、SmithsonianとFeverが共同開発した約38分のインタラクティブVRだ。来場者は銀河やブラックホール、宇宙望遠鏡を再構成した空間を歩く。同作はワシントンD.C.での初公開後、ロンドン、マンチェスター、サンパウロへ展開し、サンティアゴ、マドリード、リスボン、シドニーでの開催も発表されている。

一方、「Disneynature’s Wolf: An Immersive Experience」は、カナダ北極圏で撮影した180度映像を使う約20分の作品だ。Silverback Filmsによると、Appleの没入映像向けカメラとBlackmagic Designの編集環境を使用した。自由歩行型の体験とは異なるが、大画角映像を専用機器と会場で見せる作品として選出されている。

日本からは、Rio Nakadaによる「Nox」と、Misa Haruによる「Tomori」がコンペティションに入った。Best of Worldsにも日本のクリエイターによる仮想世界が複数選ばれている。Venice Immersiveの全体を見ると、ヘッドセットを使う作品でも、着座型、自由歩行型、映像鑑賞、複数人参加など、必要な空間と運営は大きく異なる。

作品展示と商談を同じ場所で行う

Venice Immersiveは完成作品の発表だけで終わらない。9月3日から9日までは、XR・VR・ARの制作者、配給会社、販売会社、資金提供者が集まるVenice Immersive Marketを併催している。開発途中の14件はVenice Gap-Financing Marketに参加し、9月4日に企画を発表した。Biennale Collegeでは11件の企画が開発支援を受けている。

施設型XRにとって、この市場機能は重要だ。映画祭で評価された作品が、そのまま各都市で営業できるとは限らない。会場面積、使用機材、体験時間、同時参加人数、スタッフ数、言語対応を整理し、導入先や配給会社と結び直す必要がある。Venice Immersiveは、作品を見せる島と商談の場を近接させ、その接続を試す場所になっている。

受賞結果は映画祭最終盤に発表される予定だ。LBE Magazineでは受賞作だけでなく、会期後に常設施設や巡回展へ進む作品があるかも追っていく。