Cearáの文化施設、ARトーテムで奴隷制廃止をめぐる複数の記憶を現地に重ねる
Ventos de LiberdadeはQRコードから体験するARで、Ceará州の奴隷制廃止をめぐる抵抗の歴史を伝える。
ブラジル北東部Ceará州の文化施設、Centro Dragão do Mar de Arte e CulturaがAR作品を公開した。「Ventos de Liberdade」と題し、公開日は2026年3月25日。奴隷制廃止を記念する州の祝日「Data Magna」に合わせた企画だ。会場はFortalezaのArena Dragão do Marだった。
Francisco José do Nascimentoの像のそばに、案内用のトーテムを設置した。NascimentoはChico da Matilde、またはDragão do Marの名でも知られる。来場者はトーテムのQRコードをスマートフォンやタブレットで読み取り、ARを体験する。
題材は、Cearáが1884年に奴隷制を廃止した経緯だ。ブラジル全土で奴隷制を終わらせた1888年のLei Áureaより4年早い。州の公式発表は、1881年にFortaleza港で海上輸送を拒んだジャングァデイロ(筏の船乗り)たちの行動を紹介している。
初期には解放奴隷のJosé Luiz Napoleãoが、後にChico da Matildeが中心的な役割を担ったとされる。抵抗を約3,000人が見守ったという。作品は一人の英雄だけを扱わず、自由民や解放奴隷、奴隷にされた人びとが参加した運動として描く。
像の横に置く、二つのAR章
公開時点のARには二つの章がある。「De Matilde para Chico」は、Chico da Matildeの幼少期と母Matildeとの関係を扱う。公式説明によると、Aracati沿岸で育った環境を木製の仮想ジオラマで表現した。川や海に関わる人びとの暮らしを描き、ジャングァデイロとレース編み職人も登場する。英雄として知られる以前の家族と生活に目を向けた章だ。
もう一章の「Ecos dos Dragões」は、異なる出自や階層の人びとに焦点を当てる。支援のネットワークをつくり、日々の抵抗によって廃止運動を広げた過程を伝える。利用者はトーテムを起点に、仮想空間と3Dキャラクター、ジオラマを使った場面を見る。
州の発表は、二つの章を連続する物語の始まりとしている。年内に施設内で続きを公開する予定だ。一方、公開終了日は明らかにされていない。対応言語と音声案内、通信環境などの利用条件も公表されなかった。
制作はCentro Dragão do Marが主導した。Universidade Federal do Ceará(UFC)のLaboratório de Experiência Digitalが参加した。Amplitude Design Urbanoとも連携。アーティストのNarcélio Grudと、Juliana Motaが率いるInformal Design e Arquiteturaも加わった。
案内用トーテムはAmplitude Design Urbanoが手がけた。学生はイラストや3Dモデル、デジタルアニメーションの制作に参加した。Centro Dragão do MarはCeará州文化局に属する公立文化施設で、Instituto Dragão do Marと共同で運営されている。
公式発表は、トーテムを社会的記憶と教育的な遺産活用を結ぶインタラクティブな装置と説明している。会場の像の隣に置かれるため、利用者は現地で記念碑を見ながらデジタルの章へ進む構成となる。
二つの章から始まる連続企画
公開時には「De Matilde para Chico」と「Ecos dos Dragões」の二章を用意した。前者はChico da Matildeの幼少期と家族、後者は廃止運動に加わった複数の人物を扱う。州は年内に続編を別の形式で公開すると案内しており、最初のARだけで物語を完結させない構成になっている。