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施設公開:

ヴェルサイユ宮殿、失われた庭園を複数人VRで復元

ヴェルサイユ宮殿など4者が、史料と考古資料に基づき失われた17世紀の三施設を巡る複数人VRを公開します。

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池とフラミンゴを配した王立動物園のVR復元イメージ
画像:GEDEON Experiences、Small Creative、VIVE Arts、ヴェルサイユ宮殿 公式発表より(報道引用)

ヴェルサイユ宮殿は2025年2月27日、失われた17世紀の庭園施設をVRで歩く体験「Versailles: Lost Gardens of the Sun King」を発表した。会場はヴェルサイユ宮殿で、公開期間は同年3月25日から2026年1月4日まで。制作にはGEDEON ExperiencesとSmall Creativeが参加し、VIVE Artsとヴェルサイユ宮殿も加わった。フランス国立映画センター(CNC)の支援も受けたロケーションベースVR(LBE)である。

失われた三つの庭園施設を史料から再構成

対象は、現在は失われた三つの施設だ。王立動物園(Royal Menagerie)、迷路の木立(Labyrinth Grove)、テティスの洞窟(Grotto of Tethys)を巡る。宮殿が宮廷の主たる居所となった時期の初期庭園を舞台に、ルイ14世が芸術、建築、自然を自身の権力と王権の壮麗さの表現に結び付けた過程を扱う。造園家アンドレ・ル・ノートルの案内を受けながら、自然の統御と娯楽が王権の演出にどう使われたかをたどる構成とされた。

復元の根拠には、文書資料、ヴェルサイユ宮殿の専門家による知見、考古学的遺構を用いた。3Dによる科学的・芸術的再構成はGEDEONグループ傘下のAristeasが担当している。発表は「復元」と一括りにせず、こうした資料と専門知識を組み合わせて開発したものと説明する。現存建物のデジタルツインではなく、失われた景観を史料から再構成する企画であるため、歴史資料に基づく検証と、VRで空間を成立させる表現の双方が制作の前提になっている。

25分の自由歩行VRを15ユーロで販売

来場者はHTCのスタンドアロン型ヘッドセット「VIVE Focus Vision」を装着する。約25分の体験は複数人で参加でき、館内を自由に探索する形式で、操作による発見を促すインタラクティブ要素も盛り込んだ。提供言語はフランス語、英語、中国語の3言語で、推奨年齢は8歳以上。単券は15ユーロで、宮殿チケットとのセットは35ユーロ、宮殿・トリアノン・大噴水ショーを含むパスポートとのセットは45ユーロと案内された。文化財の展示解説にVRを付加するだけでなく、来場導線の中に短時間の有料LBEを組み込んだ運用だったことが分かる。

宮殿、復元制作、LBE運営の4者が参加

宮殿は歴史的な場所と専門知識を提供し、GEDEON ExperiencesとAristeasは失われた環境の3D再構成に携わった。複数人・自由歩行型LBEを専門とするSmall Creativeは、体験の制作と現地運用を担当。VIVE Artsは文化機関とイマーシブ技術を結ぶパートナーとして参加し、ハードウェアにはHTCのVIVE Focus Visionが採用された。

発表された展開はヴェルサイユ宮殿のみ

発表時点で示された展開はヴェルサイユ宮殿での期間限定公開までで、他都市への巡回や恒久展示については公表されていない。宮殿のクリストフ・ルリボー館長は、精密時計や熱気球飛行など科学技術の歴史を持つヴェルサイユにVRを導入し、失われたと考えられていた部分を探究できると述べた。公開終了後も、失われた文化遺産を現地訪問の文脈でどう提示するかという手法そのものは、他の史跡・庭園の企画にとって参照点となる。

15ユーロの単券に加え、宮殿チケットやパスポートとのセット券も設定した。VRを宮殿見学の途中へ加える販売方法だったことが分かる。一方、史料で確認できる範囲と演出上の補完を体験内でどう区別したか、公開後に他都市へ巡回するかは発表されていない。