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テクノロジー公開:

JR東日本が「Virtual AKIBA World」を開設、秋葉原駅と街を仮想空間に

JR東日本がスマートフォンから入れるバーチャル秋葉原駅を開設。駅を起点に、現実と仮想の街を結ぶサービスを試しました。

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Virtual AKIBA Worldのバーチャル秋葉原駅と街並み
画像:JR東日本提供、公式発表より(報道引用)

JR東日本は2022年3月8日、秋葉原駅と周辺の街を再現したバーチャル空間「Virtual AKIBA World」(VAW)を、同月25日11時に開設すると発表した。山手線の「31番目の駅」を掲げるバーチャル秋葉原駅を入口に、改札を通ったり、電車に乗ったり、駅の外へ歩いたりできる。利用料は無料。JR東日本、ジェイアール東日本企画、HIKKYの3社が運営を担った。

この企画の前段には、2021年8月の「バーチャルマーケット6」がある。JR東日本によると、同社の出展ブースは歴代の企業ブースで最多の来場者を集めた。その反響を受け、一時的なイベント出展から、いつでもアクセスできる独自の空間へ発展させたという。

アプリ不要、スマートフォンのブラウザから入場

VAWには、HIKKYが開発した「Vket Cloud」が使われた。専用アプリやVRヘッドセットは必要なく、スマートフォンのブラウザでURLを開けば入場できる。マルチプレイにも対応し、利用者はボイスチャットやテキストチャットで会話できた。

再現されたのは駅の外観だけではない。アバターで改札を抜け、ホームや車両、秋葉原駅周辺を歩ける構成だった。仲間と専用の部屋に集まる「オフ会ルーム」も用意され、オンライン飲み会などでの利用を想定していた。実在する駅を見せる展示というより、複数の利用者が同じ場所で過ごすサービスとして設計されている。

開業時には「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」と連携し、期間中の駅名を「シン・秋葉原駅」とした。空間内にはコラボレーション用のグラフィックとキャラクターが登場。JRAの専用空間や、ビームスとの企画も予告された。

現実の秋葉原駅にも入口を設置

3月25日から31日までは、現実のJR秋葉原駅1階改札内に「VAWゲートウェイ」を設置した。LEDパネルで映像を流し、横に置いたQRコードから仮想空間へアクセスできる仕掛けだ。スマートフォンから入れる利点を生かし、駅を利用している人がその場でVAWを試せる導線を作った。

この取り組みは、JR東日本が進める「Beyond Stations構想」の一環でもある。同社は駅を交通の結節点にとどめず、暮らしに関わるサービスへ接続する場所に変えようとしていた。VAWでも、現実の駅や車両とバーチャル空間をQRコードなどで結び、双方を行き来する体験を目指した。

発表時点では、仮想空間で購入した商品を現実の駅で受け取る仕組みや、現実の駅広告をVAW内で別の表現に広げる案も示された。限定入場券をNFTで配布する計画も挙げられている。ただし、いずれも将来構想であり、開業時から提供された機能とは区別して見る必要がある。

秋葉原を舞台に選んだ意味

秋葉原は、アニメやゲーム、電子機器を目当てに国内外から人が集まる街だ。VAWは架空の都市を一から説明する代わりに、多くの人が知る駅名と街並みを使った。初めて入る利用者でも、どこにいて何をする空間なのかを把握しやすい。

一方、街並みを再現しただけでは、継続して訪れる理由にはなりにくい。開業時からIPとのコラボレーションや企業空間、利用者同士の交流機能を組み込んだのは、そのためだろう。秋葉原という場所の知名度を入口にしつつ、時期ごとに中身を入れ替えられる運営を目指していたことが分かる。

秋葉原駅をデジタル体験の入口に

VAWは、来場者が現地で身体を動かす一般的なLBEとは性格が異なる。それでも、実在する駅を起点に体験を組み立て、現実の秋葉原駅にもアクセス用の入口を置いた点は、場所とデジタル体験をつなぐ試みとして興味深い。

注目すべきなのは、精密な景観再現だけではない。アプリなしで参加できること、駅からQRコードで入れること、企業やIPが企画を追加できることが一つの設計にまとめられている。現実の街へ再び足を運びたくなる企画を継続できるか。その点が、オンライン上の秋葉原を単発の話題で終わらせないための鍵になる。