Wizard of Oz Museum、30台超のプロジェクターで物語と宇宙を上映
床から天井まで映像を投影する専用室で、「オズの魔法使い」と宇宙を題材にした没入映像を提供した。
米フロリダ州ケープカナベラルのWizard of Oz Museumは2023年11月28日、館内の没入映像設備について発表した。30台を超えるレーザープロジェクターを専用室へ設置し、壁と床を覆う映像と音楽で「オズの魔法使い」の物語を上映する。
原作の場面を床から天井まで投影
映像は、竜巻、マンチキンの国、黄色いレンガ道、エメラルド・シティなど、物語の主要な場面を順にたどる。来場者は固定されたスクリーンを見るのではなく、四方と床に広がる映像の中に立つ。展示室には座席もあり、立ったまま歩き回らなくても鑑賞できる。
上映は、カンザスの竜巻からオズへ入り、登場人物と出会ってエメラルド・シティへ向かう物語の流れを使う。原作挿絵や映像資料を断片的に並べる展示室とは異なり、場面転換を音楽と投影で連続させる。床面にも映像があるため、来場者の足元まで色や動きが広がる。
30台を超えるレーザープロジェクターを使うには、映像の境目を合わせ、壁面ごとの色と明るさを調整する必要がある。来場者の影が画面へ入りやすいが、それも空間内に立っている感覚の一部になる。座席を設けたことで、歩行が難しい人や長く眺めたい人にも鑑賞方法を用意した。
同館は書籍、玩具、映画関連資料など「オズの魔法使い」に関する収蔵品を展示する博物館として2022年に開業した。没入映像室を別区画に設け、実物資料を読む体験と、大きな映像に包まれる体験を館内でつないでいる。
収蔵品はL. Frank Baumの書籍、各時代の挿絵、映画や舞台に関連する品を含む。来場者は出版・映像化の歩みを実物資料でたどった後、物語世界を大きな映像で体験する。投影室と収蔵展示を順番につないだ博物館である。
NASAの画像から宇宙映像も制作
博物館はケネディ宇宙センターに近い立地を生かし、宇宙を題材にした没入映像も追加した。NASAとジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が公開する画像を使い、惑星、星雲、銀河の映像を床と壁へ投影する。
ケープカナベラルを訪れる観光客には、ロケット打ち上げや宇宙センターを目的とする人も多い。博物館はこの地域性に合わせ、文学IPとは別の宇宙演目を同じ機材で上映した。投影設備を一作品専用にせず、異なる来館動機へ応えるプログラムとして使っている。
NASAや宇宙望遠鏡の公開画像は科学観測の成果だが、没入映像では動き、音楽、画面遷移が加わる。観測データそのものと、鑑賞用に編集した表現を区別する説明があれば、印象的な映像を天体への理解につなげやすい。
公式発表によると、映像室では「オズ」の演目と宇宙の演目を続けて上映する。文学作品だけに限定せず、地域を訪れる宇宙観光客にも対象を広げた。各演目の正確な上映時間や入れ替え頻度は発表に記載されていない。
小規模博物館が没入映像を増設する意味
プロジェクション空間は、原画や衣装のような一点物を増やさなくても、演目を更新できる。Wizard of Oz Museumは収蔵品中心の展示に映像室を加え、来館の動機を作品ファン以外へも広げた。
一方、公開画像を大画面へ映すだけでは、博物館としての説明は薄くなる。原作資料や宇宙開発の背景と映像をどう結び付けるかによって、印象的な上映から学習体験へ進めるかが変わる。