スミソニアン国立アジア美術館、孔雀の間を巡る館内初のVRを2027年2月開設
スミソニアン国立アジア美術館が、貸し出せない歴史的室内「Peacock Room」をインタラクティブに巡る館内初のVR体験をワシントンD.C.で開設する。
米スミソニアン国立アジア美術館は2026年10月29日、同館初のVR体験「A Gorgeous Surprise: The Peacock Room in VR」を発表した。開設日は2027年2月12日。ワシントンD.C.の館内で長期展示として提供する。
題材となるPeacock Room(孔雀の間)は、米国人芸術家ジェームズ・マクニール・ホイッスラーが1876年から1877年にかけて手がけた室内作品だ。青緑と金色の孔雀模様が壁や天井を覆い、日本と中国の陶磁器、絵画「The Princess from the Land of Porcelain」などが収められている。
建築や陶磁器を近距離で探索
来場者は事前映像を見た後、VRヘッドセットを装着する。VR空間では、室内の建築、壁面装飾、陶磁器を近距離からインタラクティブに観察できる。絵画の人物が画面の外へ動き出す演出も盛り込む。
音声では、ホイッスラーと依頼主のフレデリック・レイランドの対立や、Peacock Roomがロンドンからデトロイトへ移され、最終的にワシントンD.C.へ収蔵された経緯を伝える。現在の室内を再現するだけでなく、3つの都市と建物をたどった歴史を体験に組み込む構成だ。
同日には、ホイッスラーの回顧展「James McNeill Whistler」も開幕する。VR体験と展覧会を組み合わせ、作品の技法や、ホイッスラーが日本・中国美術から受けた影響を紹介する。
貸し出せない室内作品をVRで館外へ
Peacock Roomを含む美術館創設者チャールズ・ラング・フリーアの旧蔵品は、遺贈の条件により館外へ貸し出せない。国立アジア美術館はVRを使い、現物を移動せずに別の場所で体験できる形へ変える。
同館は2027年中に、海外の提携施設で体験できる機会を発表する予定だ。将来はVR体験の全編を美術館のウェブサイトでも公開するとしている。提携施設の所在地や公開時期は、今回の発表には記載されていない。
制作には、フランスのGedeon、日本のTOPPAN、米国のAperio、NVIDIA、Unit9が参加した。スミソニアンのOffice of Digital and Innovationに属するDigitization Program Officeも協力し、3Dキャプチャーとアニメーションを用いてPeacock Roomを再構成した。