Meow WolfがデンバーにConvergence Stationを開業、4層を巡る没入型アート施設
110人の地元作家を含む数百人が参加した常設施設。展示、物語、ライブ会場を一つの建物に収めた。
Meow Wolfは2021年9月17日、米デンバーで常設施設「Convergence Station」を開業した。サンタフェ、ラスベガスに続く同社3拠点目で、展示空間だけでなく飲食、物販、ライブ会場も備える。
施設名は、25年前に起きた宇宙規模の出来事によって四つの世界が融合し、住民が記憶を失ったという設定に由来する。来場者はQuantum Department of Transportation(QDOT)の交通駅から、それぞれの世界へ移動する乗客として館内へ入る。
4層に展示と物語を配置
建物の4層には、氷に覆われたEemia、都市の通りを思わせるC Street、有機的な空間Numina、地下墓地のようなOssuaryという異なる世界が広がる。来場者は通路や隠し扉を探しながら作品に触れ、任意で失踪した4人の女性と失われた記憶をめぐる手掛かりを集める。順路を一本に絞らず、鑑賞と探索を同じ空間に重ねた構成だ。
制作には110人のコロラド州在住作家を含む数百人が参加した。公式発表では、79件のプロジェクトを含む大型展示群に加え、450人以上を収容するライブ会場をMoment Factoryと共同で整備したとしている。
個々の作品は共通の世界設定に接続しながら、作家ごとの素材と表現を残す。「Ruptured Time」は脳と古い居間を組み合わせ、地域から集めた映像の乱れで記憶の変化を表した。「Crystal Future」は洞窟と結晶を使い、未来の遺構のような空間をつくる。地元作家の作品を一つの統一様式へ揃えず、異なる世界が衝突したという設定で差異を受け止めた。
滞在先を一つの展示室に限定しない
館内にはカフェと2,000平方フィート超のショップも置かれた。作品鑑賞、物語探索、飲食、ライブを建物内でつなぎ、来場目的と滞在時間に幅を持たせている。
ライブ会場は展示から切り離された一般的なホールではない。Moment Factoryと組んだ映像・照明設備を持ち、イベント時には展示世界の一部として使える。昼間の家族利用と夜の音楽イベントを同じ建物で受け入れ、時間帯ごとに異なる来場理由をつくった。
Convergence Stationは、個々の作品を並べる美術館というより、建物全体を探索対象にした常設型のLBEである。地域作家の参加を施設の内容へ直接反映した点も特徴となった。
開業から1年で100万人を超える来場者を迎えたとMeow Wolfは後に公表している。物語を最後まで解くことを入場条件にせず、短時間の鑑賞、長時間の探索、ライブ参加を許容したことが、多様な利用につながった。
四つの世界を一度の来館で見切る必要はなく、見落とした通路や作品が再訪の理由になる。展示を追加・更新しても、世界同士が融合したという設定の中へ位置づけやすい。多数の作家が参加する施設で、個別作品の違いと全体の物語を両立させるための構造でもある。