THE LUME Colorado、第1弾に「DALÍ ALIVE」を選定
Grande Experiencesとダリ美術館が、コロラドの常設デジタルアート施設で「DALÍ ALIVE」を世界初公開すると発表しました。
Grande Experiencesと米国フロリダのThe Dalí Museumは2022年8月23日、「DALÍ ALIVE」をコロラド州オーロラで世界初公開すると発表した。開業日は10月21日。Stanley Marketplace内に新設する常設デジタルアート施設「THE LUME Colorado」の第1弾となった。
展示面積は1万3,000平方フィート(約1,210平方メートル)。壁や床を覆う映像に空間音響と香りを組み合わせ、サルバドール・ダリの生涯と作品をたどる。一般向けチケットは発表時点で販売が始まっており、大人料金は39ドルからと案内された。
絵画と写真を大規模映像へ再構成
「DALÍ ALIVE」は、ダリの作品と生涯を年代に沿った複数の場面で紹介する。スペインで過ごした形成期、シュルレアリスムとの出会い、米国で活動した時代へと進み、その後も続く文化的な影響まで扱う構成だ。発表では、ダリが人生や制作の節目で自らをどのように変えていったかに焦点を当てると説明された。
大規模な投影ギャラリーでは、光と色、映像、音響に香りも加える。展示室に原画を並べる方法とは鑑賞の仕方が異なり、来場者は空間の中を移動しながら、複数の面に現れる映像を見る。空間音響は、映像が映る方向と音の位置を結び付けるために使われた。
制作にはフロリダ州セントピーターズバーグのThe Dalí Museumが参加した。同館は、ダリの活動期間と多様な表現を網羅する2,400点以上の作品を所蔵している。Grande Experiencesと密接に協力し、作家の歩みを紹介する内容を組み立てた。Grande Experiencesは、その資料と解釈を多面投影の体験に仕上げる役割を担った。
ダリ美術館がデジタル展示に参加
The Dalí Museumは、従来からデジタル技術を使った鑑賞方法に取り組んでいた。公式発表は、VR作品「Dreams of Dalí」、無料アプリ内のAR体験、AIを用いた「Dalí Lives」を例に挙げている。「DALÍ ALIVE」も、原画の保存と展示を担う美術館が、別の場所で展開するデジタル体験へ知見を提供した事例となる。
美術館側にとっては、フロリダの館内を訪れない人にもダリの物語を届けられる。Grande Experiences側は、専門館が持つ資料と研究を踏まえて展示を制作できる。発表文には両者の役割を細かく分けた記載はないが、共同制作であることと、美術館が内容開発に深く関わったことは明記されている。
商業施設内に常設ギャラリーを開く
THE LUME Coloradoが入居したStanley Marketplaceは、航空機を製造していた工場を転用した複合施設だ。50を超える独立系の店舗、レストラン、サービス事業者が集まっていた。所在地は2501 Dallas Street。買い物や食事に訪れる人が行き交う場所にデジタルギャラリーを設けた。
Grande Experiencesにとって、THE LUME Coloradoは世界で4番目の常設デジタルギャラリーだった。先行拠点はロサンゼルス、インディアナポリス、オーストラリアのメルボルンにある。巡回展示を一都市へ持ち込む形とは違い、常設会場を確保し、企画を入れ替えながら設備を使う展開である。
Stanley Marketplaceでは前年の夏に「VAN GOGH ALIVE」が開催されていた。施設の共同創業者Mark Shakerは、その展示がコロラドの住民と旅行者に支持されたと振り返り、THE LUME Coloradoの常設先になったことを歓迎している。期間限定展示で得た反応を踏まえ、同じ場所に常設ギャラリーを開く流れだった。
1万3,000平方フィートを作品ごとに使い直す
多面投影型の施設では、プロジェクターや音響設備を次の企画にも利用できる。作品を替える際は映像、音、会場内の案内を更新しながら、投影面を備えた大空間を使い続ける。THE LUME Coloradoは開業作品にダリを選び、施設名と個別の展示名を分けた。将来の企画変更を前提とした名称である。
一方、常設施設には継続的な集客が必要だ。同じ設備でも、扱う作家や物語が変われば、映像の構成や音響、香りを作り直さなければならない。専門館との共同制作は内容の信頼性を支えるが、原画を見る展覧会とは別の鑑賞方法であることも丁寧に伝える必要がある。
美術館と共同制作した開業作品
「DALÍ ALIVE」の特徴は、大きな画面だけではない。ダリ専門の美術館が内容開発に加わり、作家の生涯を年代に沿って構成した点にある。投影、空間音響、香りを使う演出は入口になるが、展示を見終えた来場者が作家の変化や活動した土地を理解できるかによって、体験の印象は変わる。
THE LUME Coloradoの開業作品として世界初公開したことにも意味がある。新施設のために美術館と共同制作した作品を用意した。前年の「VAN GOGH ALIVE」で会場と地域の相性を確かめ、その次に常設拠点と新作を立ち上げる。発表からは、期間限定展示を常設事業へつなげる段階的な展開が読み取れる。
ただし、公式発表は主催者による開業前の案内であり、来場者評価や施設の採算を示すものではない。本記事では、2022年8月23日時点で公表された展示内容、会場、料金、制作体制を整理した。