Wevr、3大陸の5案件でLBEを展開 累計来場者100万人超を公表
Wevrがアジア、欧州、南米で手がけた5件のLBEを公表。会場別の実績と運用規模を追いました。
米ロサンゼルスの没入型スタジオWevrは2026年7月15日、5件のロケーション型体験で合計100万人超を迎えたと発表した。案件の舞台は台湾・高雄、中国・西安、北海道、メキシコシティ、大阪・関西万博にわたる。
これはWevrによる集計であり、同じ体験を5会場に展開した数字ではない。扱う題材は海洋や歴史遺産、文学作品、博覧会パビリオンと幅広い。Wevrは各地の行政機関や会場、技術会社と組み、会場ごとに異なる体験を制作した。
5案件で積み上げた来場規模
最も多くの来場者を集めたのは、2025年大阪・関西万博のマルタ館向けに制作した「Catch the Wave」だ。Malta Enterpriseが委託し、Wevr共同創業者兼CEOのネヴィル・スピテリが演出した。
会場には幅60フィート、奥行き20フィートの曲面LEDファサードと、180度を映像で囲む空間を設置。マルタの8,000年の歴史を、立体計測した映像と音響、照明で伝えた。万博の6か月間で75万人超を迎えたという。閉幕後は姫路城に移設され、最初の2か月で15万人超が訪れた。Wevrは2025年10月、マルタに欧州の制作拠点も開いた。
中国・西安の「Terracotta Warriors: Secrets of the First Emperor's Mausoleum」は、秦始皇帝陵博物院の隣にある。WevrがVIVE Arts、現地企業のHorizon Technologyと共同で制作した。
未開封の陵墓内部を史料に基づいて再現した、約40分のフリーロームVRだ。Wevrの事例ページによると、三つのステージはそれぞれ2,000平方フィートを超える。VIVE Focus Visionを着けた参加者の動きを同期し、1時間に150人を受け入れる。発表時点までの1年間に、数十万人が訪れたという。
海洋IPと文学IPを地域の会場へ
台湾・高雄の「The Blu: Expedition Taiwan」は、HTC VIVERSE、台湾文化部との共同事業だ。Pier-2 Art Center内のVIVELAND KW7で公開された。
「The Blu」シリーズで初めて、家族や友人と同じ空間を歩けるフリーローム方式を採用した。参加者はサンゴ礁や沈没船を巡り、網に絡まったウミガメを助ける。題材は台湾の海洋生態系だ。Wevrは各地の海を扱う新シリーズの第1作と位置づけているが、次回作の場所や公開時期はまだ明らかにしていない。
文学IPでは、「The Little Prince: Call to Adventure」を北海道のエスコンフィールドHOKKAIDOで2025年12月に初公開した。Wevrの発表では、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ『星の王子さま』を題材にした世界初の複数人フリーロームVR化で、所要45分、16の場面と14の登場人物から成る。発表時点では中国で上映中で、世界展開を予定している段階だった。またFeverとのメキシコシティでの「The Blu」3日間ポップアップは1,800人超を集めた。こちらは「The Reef」「The Cove」「The Abyss」の各約5分のリマスター版を体験できる導入型の催しである。
5件は、作品の内容も会場の形態も異なる。このため、100万人超を一つの常設施設が集めた数字のようには扱えない。ただしWevrが、万博会場や文化遺産の近隣施設、アートセンター、短期催事で制作してきた規模は分かる。
今後について公表されているのは、「The Blu」の追加地域と『星の王子さま』の世界展開までだ。具体的な会場や日程は発表されていない。
会場に合わせて変わる体験の規模
西安のVRは1時間に150人を受け入れる一方、メキシコシティの催事は約5分の映像を3種類そろえた。万博のマルタ館では大型LEDを使い、高雄では複数人で歩くVRを導入している。同じ制作会社の案件でも、来場人数や滞在時間、使用機材は会場によって大きく異なる。100万人という合計値を見る際には、こうした違いも踏まえる必要がある。