ARで遊ぶ射的「XR ENNICHI」、少ない機材で商業施設への導入を狙う
ワントゥーテンが、現実の射的台にARの標的や演出を重ねる省スペース型アトラクションの提供を始めました。
ワントゥーテンは2021年6月3日、「XR ENNICHI -神射的- by 1→10」を導入する施設と店舗の募集を始めた。祭りや縁日で親しまれてきた射的を、ARを使った回遊型のシューティングへ作り替えたコンテンツだ。商業施設の空き区画、ホテルや旅館の館内などへの設置を想定していた。
銃型コントローラーで360度を狙う
参加者は銃型のコントローラーを持ち、フィールド内を歩きながら標的を探す。設置されたスマートフォンの画面をのぞくと、現実の会場に鬼たちが重なって現れる。体の向きを変えながら360度の空間を使い、前後左右に現れる鬼を退治する。
標的はスマートフォン上のAR映像で表示され、物理的な人形や景品を置かない。銃を構えて狙いを定める射的の動作は残しつつ、現実には置けない神や鬼を登場させた。参加者は画面と周囲の両方を見ながら移動するため、固定された映像を鑑賞する体験とも異なる。
「神議り」の伝説を物語に使う
世界観の題材は、八百万の神々が年に一度、出雲大社に集まるという「神議り」の伝説だ。神々が農業や縁結びについて話し合うという伝承をもとに、神が作った不思議な遊びへ参加する物語を設けた。
一般的な縁日の意匠に加え、射的で鬼を退治する理由を日本の伝承につないでいる。ワントゥーテンは、遊びながら古くから伝わる文化に触れる「エデュテインメント型」のコンテンツと位置付けた。
同社はこれ以前から「ENNICHI by 1→10」を展開していた。プロジェクションマッピングや全身3Dスキャンを使い、日本各地の伝統文化と遊びを紹介する複数の体験で構成する施設だ。第1号は群馬県前橋市の商業施設「AQUERU前橋」に導入された。「神射的」は、その考え方を単体で設置しやすい形にしたものとなる。
プロジェクターと立体造作を使わない構成
「神射的」は、AR表示にスマートフォンを使うため、大型プロジェクターを必要としない。鬼の立体造作も設置せず、必要な機材を抑えた。提供元は、省スペースかつ低コストで導入できるとして、ショッピングモールの共用部や空きテナントも候補に挙げている。
2021年の募集時には、新型コロナウイルス流行下での集客イベントを想定し、非接触や密集回避も訴求された。1人の参加者がコントローラーを持って動く構成なら、同じ出店を囲んで大人数が集まる縁日とは参加方法を変えられる。ただし、1回の定員、必要な区画の広さ、機材を交換する際の消毒手順は発表資料に記載されていない。
店舗向け募集として発表
今回の発表は、施設や店舗に向けた導入募集であり、常設店の開業告知ではない。料金、設営期間、必要なスタッフ数も公開されていない。導入後に標的や物語をどの程度更新できるかについても、リリースからは分からない。
一方、体験の構成は具体的に示された。参加者が歩ける区画、銃型コントローラー、ARを表示するスマートフォンが中心で、大がかりな映像設備を前提としない。使われていない小区画へ短時間型のLBEを入れる提案として、ARの特性を設置条件へ結び付けた事例である。