LBE市場はどこまで成長する?市場規模・成長要因と代表企業の動向
LBE市場の成長予測を、Sandbox VRの累計売上3億ドル(約465億円)、Netflixの施設開業、Disneyの決算などと比較。代表企業の規模と日本の導入事例を解説します。
世界のLBE市場は、Grand View Researchの予測では2026年の97億米ドル(約1兆5,035億円)から2033年の492億米ドル(約7兆6,260億円)へ、約5.1倍に拡大する。同社が予測する年平均成長率は26.2%だ。Sandbox VRは2026年3月に累計売上3億米ドル(約465億円)を発表し、Netflixは2025年に常設体験施設を2カ所開業した。Grand View Research、Sandbox VR、Netflix
本記事では、市場がどの程度伸びると予測されているのかを示したうえで、店舗を増やすVR企業、映像作品を施設に展開するNetflix、日本で導入先を広げる企業の動きを見ていく。
LBE市場はどれくらい成長するのか
LBEはLocation-Based Entertainmentの略。来場者が特定の施設や会場で楽しむ体験型エンターテインメントを指す。フリーロームVR、体験型展示、映像アトラクションなどが該当する。用語と業態の詳しい説明は「LBEとは」を参照してほしい。
調査会社2社の公開値は次のとおり。金額の単位は米ドルで、2025年は各社の推計、2026年以降は予測となる。
| 調査会社 | 2025年 | 2026年 | 将来予測 | 2026年からの拡大幅 |
|---|---|---|---|---|
| Grand View Research | 74億ドル(約1兆1,470億円) | 97億ドル(約1兆5,035億円) | 2033年:492億ドル(約7兆6,260億円) | 約5.1倍、395億ドル増(約6兆1,225億円増) |
| Fortune Business Insights | 61.8億ドル(約9,579億円) | 70.4億ドル(約1兆912億円) | 2034年:317.1億ドル(約4兆9,150億円) | 約4.5倍、246.7億ドル増(約3兆8,239億円増) |
出典:Grand View Research、Fortune Business Insights。拡大幅は各社の公開値からLBE Magazineが計算した。予測期間は前者が7年、後者が8年。
LBE市場を代表する企業は何を増やしているのか
VR施設の出店、IP作品の販売、常設施設の開業など、各社の事業拡大を見ていく。
| 企業・団体 | 確認できる規模や動き | 発表・実績時点 |
|---|---|---|
| Sandbox VR | 累計売上3億米ドル(約465億円)。世界90超の拠点 | 売上:2026年3月、拠点:同年9月 |
| Zero Latency VR | 30カ国・150超のアリーナ、累計600万回超のプレイ | 2026年9月確認の公式紹介 |
| Netflix | Netflix Houseを米国2カ所で開業。3施設目は2027年に計画 | 2025年12月発表 |
| Disney | Experiences部門の年間売上361.56億米ドル(約5兆6,042億円)、前年比6%増 | 2025会計年度 |
| STYLY・KDDI/LBEC | 25社が参画。2030年までに取引総額150億円規模を目指す | 2026年7月発表 |
出典と各社の事業内容は、以下の節で示す。
Sandbox VR:『イカゲーム』のVR体験が累計売上5,000万ドル(約77.5億円)を突破
Sandbox VRは2026年3月26日、累計売上が3億米ドル(約465億円)に達したと発表した。Netflix作品を使った「Squid Game Virtuals」は2023年の提供開始から累計5,000万米ドル(約77.5億円)を超え、オリジナルの「Deadwood」シリーズも累計100万枚超のチケットを販売している。Sandbox VRの公式発表
出店面では、2026年9月のメルボルン店発表時点で世界90超の拠点を展開。直営とフランチャイズを併用している。同店は最大6人で遊べるVRルームを4室備え、バーとパーティールームも併設する。メルボルン店の公式発表
この事例では、同じ作品を複数の店舗で販売することと、その販売先となる店舗を増やすことが並行している。人気IP作品と自社作品の両方に販売実績がある。
Zero Latency VR:150超の会場へ作品と運営支援を提供
Zero Latency VRは、2026年9月に確認した公式紹介で、30カ国・150超のアリーナと累計600万回超のプレイを示している。作品には「Far Cry」「Space Marine」などのIPを使った体験があり、既存のVR会場へコンテンツを提供するネットワークを持つ。
同月には、導入施設の価格設定、セッション設計、地域集客を支援する「Venue Success」の責任者にBrett Bovio氏を起用した。コンテンツと機器の販売に加え、導入後の施設運営も支援対象にしている。Zero Latency VRの公式発表・企業紹介
Netflix:映像配信の作品を、約9,300平方メートル超の常設施設へ
Netflixは2025年11月にフィラデルフィア近郊、12月にダラスで「Netflix House」を開業した。ダラス店は10万平方フィート超、約9,300平方メートル超の規模だ。2027年にはラスベガスで3施設目を計画している。
施設では「Stranger Things」「Squid Game」などの作品世界を体験に使い、飲食店「Netflix BITES」と物販も組み合わせる。入館自体は無料で、来場者が体験・食事・買い物を選ぶ構成となる。Netflixのダラス開業発表
Sandbox VRへの作品提供と、自社ブランドの常設施設は別の展開方法だ。Netflixは既存の体験事業者を通じた展開に加え、自らの施設でも作品と接する場所を増やしている。
Disney:体験事業の売上は前年比6%増
Disneyの2025会計年度のExperiences部門売上は361.56億米ドル(約5兆6,042億円)で、前年度の341.51億米ドル(約5兆2,934億円)から6%増えた。部門営業利益も92.72億米ドル(約1兆4,372億円)から99.95億米ドル(約1兆5,492億円)へ8%増加している。Disneyの2025年度決算
Experiences部門は、パーク、クルーズ、消費者向け商品などを含む。幅広い体験事業をまとめた部門の実績だ。
成長を支える要因は「IPの体験化」「多拠点展開」「既存施設への追加」
各社の事例を、商品と販売先の増やし方で比較する。
| 成長につながる動き | 具体例 | 増えるもの |
|---|---|---|
| 映像・ゲームIPを体験として販売 | Sandbox VRの「Squid Game Virtuals」、Netflix House | 作品ファンが施設で購入できる体験・商品 |
| 同じ作品を複数の会場へ展開 | Sandbox VRの90超の拠点、Zero Latency VRの150超のアリーナ | コンテンツの販売先と来場機会 |
| 一つの技術基盤を異なる施設へ導入 | STYLYの常設VR、AR展示、街歩き型体験 | 作品の用途と導入先 |
| 会場と作品の導入条件を共通化 | STYLY・KDDIが設立したLBEC | 導入候補となる施設と作品の組み合わせ |
上記の事例では、IPを使った新しい商品、販売先の増加、既存設備への追加作品という具体的な形で事業が広がっている。
日本ではどの企業が導入先を増やしているのか
STYLY:作品制作だけでなく、LBEの開発・運営・流通基盤をつくる
STYLYは2026年7月、開発資源をLBEとスマートフォンARへ集中すると発表した。東京ドームシティの「THE MOON CRUISE」や蓼科の「AnimaLOOK!!」といった常設VRに加え、横浜赤レンガ倉庫の街歩きAR「ウルトラマルチバース」、TOKYO NODEの「攻殻機動隊展」など、街や大型展示施設も事業領域に含む。THE MOON CRUISEの公式紹介、ウルトラマルチバースの公式発表
作品の開発・運営だけでなく、多人数向けLBEを制作するオープンソースSDKも提供している。KDDIと設立したLBECには25社が参加し、会場と作品のマッチングや共通ルールの整備を進める。STYLYは自社作品だけでなく、他社の作品を複数の施設へ届ける流通基盤にも事業を広げている。SDKの公式発表、LBEC公式サイト
CinemaLeap:横浜から名古屋・大阪・広島へ常設施設を展開
CinemaLeapは、横浜で2024年12月に始めた「IMMERSIVE JOURNEY」を多拠点化している。2026年1月23日には名古屋・栄で2店舗目を開業。2026年9月17日には、関西テレビ放送と共同で大阪・西梅田のヒルトンプラザ イーストに3店舗目を開くと発表した。大阪店は2026年12月下旬の開業を予定している。名古屋店の公式発表、大阪店の公式発表
国内の累計来場者は30万人を超え、2027年春には広島にも開業する予定だ。作品を入れ替えられるフリーロームVR施設を横浜、名古屋、大阪、広島へ広げる計画で、単発イベントではなく、複数作品を常設施設で上映する興行へ進んでいる。大阪店の公式発表
ダイナモアミューズメント:作品開発と施設展開を両方担う
ダイナモアミューズメントは、VR・AR・MR作品の受託開発に加え、VR BASE TOKYOなどの施設展開を手がける。「青鬼VR」、アニメやゲームIPを使ったアトラクション、ライド向けのモーション制作まで扱い、作品を作る側と提供する側の両方に関わっている。ダイナモアミューズメント公式サイト
日本XRセンター:国内作品を海外の施設へ配信
日本XRセンターは、オリジナル作品の開発、共同開発、施設へのライセンス提供を行う。「XRミッション バトルワールド2045」などを国内で展開するほか、SynthesisVRやSpawnpointを通じて海外のVR施設にも作品を配信している。日本XRセンターの公式紹介
国内の施設運営だけでなく、日本で開発した作品を海外の既存施設へ販売する流通モデルを持つ点が特徴だ。
ティフォン:直営施設からライセンス提供へ
ティフォンは、没入体験施設「TYFFONIUM」で作品の制作、導入、運営を自社で行ってきた。現在は直営施設に加え、企業や商業施設へのライセンス提供とフランチャイズ展開も広げている。2026年には日本XRセンターが運営する福岡の施設へ3作品を提供し、他社運営の会場へ作品を届ける展開も始めた。TYFFONIUMの公式紹介、ティフォンの公式発表
日本のLBE市場については、Fortune Business Insightsが2026年に3.2億米ドル(約496億円)と予測している。日本市場の予測
企業ごとの代表作品や導入支援は「LBEの主要企業一覧」、国内の具体例は「日本のLBE施設・事例一覧」で比較できる。
まとめ:LBE市場では、作品と販売先の両方が増えている
Grand View Researchは、LBE市場が2026年の97億米ドル(約1兆5,035億円)から2033年の492億米ドル(約7兆6,260億円)へ約5.1倍に拡大すると予測している。企業の実績では、Sandbox VRが2026年3月に累計売上3億米ドル(約465億円)を発表し、同年9月には世界90超の拠点を展開。Netflixも2025年に常設のNetflix Houseを2カ所開業した。
成長につながる動きは具体的だ。Sandbox VRは『イカゲーム』を有料のVR体験にし、Zero Latency VRは150超のアリーナへ作品を届けている。
日本市場は、Fortune Business Insightsが2026年に約496億円と予測している。STYLYは常設VR、街歩きAR、展示施設向けの大規模運用、制作者向けSDKを展開し、KDDIと設立したLBECでは25社と流通ルールや会場とのマッチングを整えている。CinemaLeapのIMMERSIVE JOURNEYは横浜と名古屋で営業し、大阪と広島への展開も決まった。ダイナモアミューズメントは作品開発と施設運営、日本XRセンターは国内外へのライセンス提供、ティフォンは直営施設と他社施設への作品提供を進める。国内でも、制作、興行、多拠点展開、海外配信、流通基盤を担うプレイヤーがそろい始めた。
海外では多店舗展開、日本では会場と作品を結ぶ仕組みづくりが進む。IPを体験として商品化し、一つの作品を複数の場所へ届けることが、LBE市場拡大の中心になっている。
調査確認日:2026年9月15日。市場予測は調査会社の公開要約、企業の規模・実績・計画は各社の公式発表を参照した。円換算は1米ドル=155円で計算し、1億円未満を四捨五入した概算(一部は0.1億円単位)です。