XR Complexと東北新社、XR LBEコンテンツの共同開発プロジェクトを始動
XR Complexと東北新社がXRを使うLBE作品を共同開発。多拠点展開を視野に、日本発IPの海外展開を目指す。
XR Complexと東北新社は2025年10月26日、XRを使ったLBEの制作プロジェクトを始めると発表した。東北新社の映像制作とプロデュースに、XR Complexの会場型XR開発を組み合わせる。アニメやゲームなどの日本発IPを使い、同じ没入型コンテンツを複数地域へ展開する計画だ。
一つの作品を複数の会場へ供給する
XR Complexはこの方式を「量産型LBE」と呼ぶ。同じコンテンツを複数の都市や国へ供給する考え方だ。同社の浦野幸代表取締役は、量産設計と品質管理の標準化に取り組むとしている。
標準化の具体的な仕様はまだ開示されていない。使用機材、必要な床面積、来場者の導線、作品データの更新方法は不明だ。各会場の保守体制も発表されていない。XR Complexはスポーツ施設や公民館などを展開先の例に挙げているが、導入が決まった会場ではない。
映像制作と会場型XR開発を分担
XR Complexは、既存施設を舞台にIPとXRを組み合わせた体験型映画を手がける。候補としてスポーツ施設、公民館、ホール、廃校を挙げている。東北新社はCMや映画、番組の制作に加え、音響、字幕、ライセンス、配信を扱う。グループ会社のオムニバス・ジャパンはVFXとCG制作、技術開発を担っている。今回の提携では、東北新社が制作とプロデュース、XR Complexが会場型XRの開発と多拠点展開を担う構想だ。
発表では、来場者が物語を眺める「ストーリーテリング」から、物語の中で行動する「ストーリーリビング」への変化を掲げた。XR Complexがいう「量産」は、作品内容を簡略化する意味ではない。会場ごとに一から制作する工程を減らし、同じ作品を複数都市へ供給できる設計を指す。ただし、その再現性を担保する機材構成や品質基準は示されていない。
東北新社が公式に挙げる事業範囲には、CM・映画・番組の制作がある。プロモーション、グラフィック、ウェブも扱う。さらに音響・字幕やライセンス、CS放送とネット配信まで含まれる。ただし今回の発表は、どの部門とグループ会社が第1弾へ参加するかを特定していない。IPの許諾取得と脚本をどちらが担うかも不明だ。撮影・CG・音響や各国向け翻訳の分担も記載されていない。
XR Complexは2025年4月設立で、この提携発表時点では設立から約半年。発表資料が示すのは事業モデルと制作開始であり、完成作品の稼働実績ではない。
発表はMarketsandMarketsの市場予測も引用した。世界のLBE市場は2029年に153億米ドル、2024年から2029年の年平均成長率は22.9%になるという。両社の売上計画や契約額を示した数字ではない。提携への投資額と導入数は公表されていない。
第1弾作品と導入会場は未発表
今回公表されたのは、両社の役割と複数地域へ展開する方針までだ。第1弾作品の原作IP、タイトル、公開時期、導入会場は明らかにされていない。必要な床面積、対応機器、配給条件、収益分配、各会場での保守方法も未発表である。「量産型LBE」の具体的な仕様は、最初の作品発表を待つことになる。